小さなEarth Scientistのつどい〜第10回小,中,高校生徒「地学研究」発表会〜
(2012大阪)

 

 会場風景


  大阪大会2日目に,小さなEarth Scientistのつどい〜第10回小,中,高校生徒「地学研究」発表会〜がおこなわれた.年会における発表会は9年前の静岡大会からおこなわれており,今回の開催で,節目の10回目を迎えることとなった.この発表会の目的は,地学普及の一環として学校における地学研究を紹介することで地学教育の奨励と振興を図ることと,地学を研究する児童・生徒と研究者の交流が進み,地球科学普及の一助となることである.
  今回の発表会もポスターセッション会場の一角を本企画の会場として利用させて頂いたので,多くの会員の方にご参加頂けたものと思われる.今回は久しぶりに関西圏における開催であり,高等学校で地学が多く開講されている地域での開催でもあったので,前回の水戸大会を超える13校(16件)の発表があった.なお,大阪府内の学校からの参加は7校であった.年会を開催する都道府県からの参加校が多いことは,今回の特徴であった.
  今回から優秀賞選考の審査基準と審査員が変更となった.審査基準は,「研究の動機が明確であり,問題点をはっきりととらえているか」,「観察・実験から導かれたデータを基に,結論が導かれているか」,「わかりやすいポスターとしてまとめられているか」の3つの観点である.一方で,発表(説明内容)については,加点していない.これまで,生徒が参加して説明を行う学校に優秀賞が授与されることがほとんどであったが,今回から,学校行事等で説明する生徒が参加できなくても,研究そのものがすばらしく,ポスターの説明がしっかりなされていれば,高い評価がなされる仕組みとなった.また,これまで執行理事の方々にお願いしてきた審査員は,今回から理事の方々にお願いしている.任期2年のうち,1回は担当していただけるように,お願いしている.
  全ての発表を審査した結果,下に示す4件の発表に対して優秀賞が授与されている.また,フィールドに根ざして研究している学校への奨励賞については,下の3件に授与された.
  最後となったが,審査にあたっていただいた理事各位,大阪府内の学校の先生方,行事委員会,会場校である大阪府立大学と近畿支部の関係各位,さらに今回の発表会参加者に謝意を表したい.

【優秀賞】
1.高級石材凝灰岩「竜山石」の特性をリサイクル商品に活かす(兵庫県立加古川東高等学校地学部竜山石班;米今絢一郎・赤松沙耶・榊原 暁・生田恭太郎・伊東万奈瑞・岩本有加・岡本奈緒美・竹谷亮人・松下紗矢香・渡邊有美・五百井悠一郎・石田裕樹・稲岡大悟・長谷川真緒・藤原 奨・若園怜子・玉田梨恵)
2.香川県坂出市のボーリングコアから産出した完新世介形虫化石を指標とする古環境の変化(高松第一高等学校;織田未希・中屋敷彩・西江百加)
3.棚倉断層周辺の新第三系における堆積環境の復元(水戸葵陵高等学校;星加夢輝)
4.白亜紀海底探検〜1億年前,大阪は海の底だった〜(大阪府立清水谷高等学校自然科学部;文山誠友・竹中勇介・中本光玲・佐々木玲奈・竹内瑠希・高木健人・小篠尚之)

【奨励賞】
1.山陽帯フェルシックマグマ分化過程後期におけるマフィックマグマの混染(兵庫県立加古川東高等学校地学部角閃石班:新庄研斗・友藤 優・瓜本拓也・黒田健太・成田花菜・高田真里・藤田優希・大坪榛名・山根綾子)
2.鉱物粉末の大きさによる色相変化の原因(兵庫県立加古川東高等学校地学部条痕色班;蓬莱明日・山本崇広・村主美佳・小松原 啓紀・高田千春・伊東万奈瑞・有働篤人・小野友生奈・石田薫・戎 秀梧・川勝太郎・増井 瑞・増田宗利)
3.愛知県粟代鉱山の黄鉄鉱について(滋賀県立彦根東高等学校;奥 裕輔・河野晋平・上林恵太)

【発表会参加校】
大阪府立岸和田高等学校,大阪府立清水谷高等学校,大阪府立港高等学校,大阪府立堺東高等学校,大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎,城星学園高等学校,大阪市立新北島中学校,兵庫県立加古川東高等学校,滋賀県立彦根東高等学校,高松第一高等学校,早稲田大学高等学院,水戸葵陵高等学校,那須烏山市立下江川中学校

 

(地学教育委員会 三次徳二)