色取り取りの国旗や民族衣装に彩られた表彰会場に金メダルを表彰するアナウンスが,「フロムジャポネ ミドリワタナベ!」と響きました.高校一年生の渡辺 翠さんがゆっくりとステージに上がると会場は拍手に包まれました.メダルと賞状を手に,はにかむ彼女の表情からは嬉しさと緊張が伝わってきました.この表彰式に致るまでの9月5日から14日までの10日間に渡って,世界各国から集結した高校生たちは,筆記試験,野外での実技試験,海洋実習,巡検,発表会,被災地の宮城一校との中継交流,地元学校訪問,討論会等の競技をイタリア北部の小さな街モデナ周辺で取り組んできました. その結果,日本代表選手は次の輝かしい成績を残しました.おめでとう.
金メダル | 渡辺 翠 | (桜蔭高等学校) |
銀メダル | 浅見 慶志朗 | (埼玉県立川越高等学校) |
松澤 健裕 | (栄光学園高等学校) | |
銅メダル | 松岡 亮 | (北海道旭川西高等学校) |
選手の皆さんの感想は次のとおりです.
渡辺さん
一時は無理かとあきらめかけた時もあったけど,金メダルが獲れて本当に最高です.ただもう少し英語力があれば,日常会話が楽しめただろうにと思います.そこがもどかしかったので,これからもっと勉強します.
浅見さん
銀メダルが獲れて本当に良かったです.競技の中では,建物の石材を調べるというのがあって,街の中で地質を調べるというのが意外で新鮮でした.それから野外巡検で変成帯にも行ったのですが,日本の長瀞巡検で見た片岩がこちらにもあること,そしてそれが道路の石畳に使われていたことが印象的でした.あとスチューデントサポートの方々がとても親切で,本当に助かりました.機会があればサポートする側の仕事もしてみたいです.
松澤さん
世界中のひとたちと交流できたことが嬉しかったです.17年間でサイコ−でした.フェイスブックのアドレスも交換しました.ぜひ海外の大学に進学したいです.あと銀メダル嬉しかったです.
松岡さん
本当にたいへんなスケジュールで,ハードで長い10日間でした.でも充実してました.楽しめたのでよかったです.世界中に地学が好きなひとがいるんだと思いました.あとこちらに来て驚いたのは,石灰岩の分類が細かいことです.日本では単に石灰岩としか知らなかったのですが,こちらでは本当にいろんな種類があるんです!
選手そして関係者の皆様,本当にお疲れ様でした.来年はアルゼンチン大会です.地学オリンピックが若者たちにとって,地球科学を学びそして世界中の仲間たちと交流するきっかけとしてますます発展していくことを切に願います.
(坂口有人:オブザーバー参加)
図1.表彰式会場の外見 |
図2.会場の様子 |
図3.ステージの上で喜び合う渡辺さん(中央) |
図4.松岡さんの受賞風景 |
図5.ステージの上で並ぶ浅見さん(左)と松澤さん(中央) | 図6.日本代表チーム.左から松岡さん,浅見さん,渡辺さん,松澤さん |