小さなEarth Scientistのつどい〜第8回小,中,高校生徒「地学研究」発表会〜(2010富山)

 

 会場風景
表彰式の様子

 富山大会2日目に,日本地質学会地学教育委員会の主催で「小さなEarth Scientistのつどい 〜第8回小,中,高校生徒「地学研究」発表会〜」(富山大会の関連行事)がおこなわれた.年会における発表会は7年前の静岡大会からおこなわれており,今回で8回目となった.この発表会の目的は,地学普及の一環として学校における地学研究を紹介することで地学教育の奨励と振興を図ることと,地学を研究する児童・生徒と研究者の交流が進み,地球科学普及の一助となることである.
今回もポスターセッション会場の1つを本企画の会場として利用させて頂いたので,多くの会員の方にご参加頂けたものと思われる.今回は下に示す通り高校生の発表が11件あったが,地元富山県からの発表がなかったことが残念である.富山大学の先生方や,富山県教育委員会の担当者に依頼して,発表できそうな学校を探して頂いたが,結局は参加に至らなかった.富山県においては,高等学校理科で地学を専門とされ,教育,研究にご活躍中の先生もいらっしゃるが,本企画における高校生の発表までは結びつかなかった.隣接領域の研究はあったものの,日本地質学会での企画ということで,研究対象を狭く捉えると参加しづらいものと思われる.
全ての発表を審査した結果,下に示す3件の発表に対して優秀賞が授与されている.優秀賞の選考については,「研究の動機が明確であり,問題点をはっきりととらえているか」,「観察・実験から導かれたデータを基に,結論が導かれているか」,「ポスターのプレゼンテーションはどうか」,「ポスターに込められた工夫や努力はみとめられるか」の4つの観点で審査を行っており,審査員は学会役員と地学教育委員会の担当者がつとめている.役員の方々については,学会期間中のお忙しい中にもかかわらずご協力頂き,とても感謝している.

役員の方々との協議の結果,来年度からは優秀賞の審査の観点を変更し,「高校生らしい研究手法であること」や,「フィールドにおける努力」などを加えることになった.大学や研究所等の最先端の機器を利用することによって多くの成果が得られるが,それに加えて,高校生らしい発想や,フィールドにおける詳細な観察なども評価したいとの意見に配慮したものである.また,今回から優秀賞に加えて,奨励賞の表彰も行うこととなった.奨励賞は,優秀賞としては表彰されないが,今後も研究を頑張ってもらいたい発表に対して,表彰を行うものである.奨励賞は,発表件数の2割程度に,学会役員の投票によって選考される.
来年は,高等学校における地学教育の盛んな地である水戸で大会が実施される.多くの発表があることを,関係者一同期待している.
最後となったが,会場校である富山大学と中部支部の関係各位,行事委員会の皆様,さらに今回の発表会参加者に謝意を表したい.

(地学教育委員会 三次徳二:大分大学教育福祉科学部)

優秀賞を受賞した発表:
1.「金鉱の条痕色は金色」はどのように調べたか〜「条痕色」の定義を考える〜:田村優季・近江毅志・岡島菜穂子(兵庫県立加古川東高等学校 地学部条痕色班) 
2.遠州灘海岸の砂の性質と起源〜特にガーネットの起源について〜:佐藤友哉・下谷豪史・鈴木竜成(静岡県立磐田南高等学校)
3.加古川市−高砂市に点在する古墳時代の石棺の鉱物学的研究:井上紗智・友藤 優(兵庫県立加古川東高等学校 地学部石棺班)

奨励賞を受賞した発表:
1.黒曜石の研究 その2:堀内香鈴・三田村愛可・兪珺婷・竹之内翔(大阪府立花園高等学校)
2.岡山県高梁エリアにおけるスカルンの探索:森 祐紀・赤木建斗(岡山県立倉敷天城高等学校理数科)

発表会参加校:静岡県立磐田南高等学校,大阪府立花園高等学校,兵庫県立加古川東高等学校,香川県立三本松高等学校,岡山県立倉敷天城高等学校,岡山県立林野高等学校,熊本県立第二高等学校,明治学園高等学校,早稲田大学高等学院