宮澤賢治ジオツアー


釜淵の滝(童話「台川」の舞台).滝の露頭は凝灰岩.



写真1 イギリス海岸近くの北上川河岸での説明.当時は河床に泥岩の露頭があったそうですが,現在は水量が多くて水没している.
写真2 賢治が花巻農学校教員を退職して,農民指導のために設立した羅須地人協会(花巻農業高校内に移築されている)の見学.建物の中も見学できるそうなのですが,たまたま鍵がかかっていて外からの見学になりました.
写真3 羅須地人協会の跡地.現在は「雨ニモマケズ」の詩が刻まれたスレートの詩碑が立つ.葉の白く光っているギンドロ(ウラジロハコヤナギ)の木の説明を聞いているところ.

5月10日の地質の日を記念して,5月17-18日にNPO地質情報整備・活用機構が企画した宮澤賢治ジオツアーに参加して来ました.
旅行の手配は地質ツアー専門の(有)ジオプランニング,案内者は元地質学会副会長で「宮澤賢治の地的世界」の著者である加藤碵一会員です.全28人のうち 案内者・主催者・地質関係者は1/3で,2/3が宮澤賢治ファンの参加者でした.首都圏を中心に,関西や北九州からの参加もあり,賢治ファンの方々は新聞 の行事欄に紹介されたお知らせをみて参加を申し込んだそうです.
第一日目は新花巻駅に集合し,花巻市内を山猫軒(レスト ラン),宮澤賢治記念館,イギリス海岸,羅須地人協会(花巻農業高校),宮澤賢治詩碑を巡り花巻温泉へ(泊).第二日目は花巻温泉近くの釜淵の滝,幣懸 (ぬさがけ)の滝,南昌山,小岩井農場,岩手大学農業資料館,盛岡城址と見学.このように,宮澤賢治に関する学説や著作の中に登場する鉱物・岩石・地質の 説明を聴きながら賢治の足跡をたどり,童話や詩に登場する場所をめぐるという旅行でした.参加者には,賢治の童話にでてくる5種類の岩石の説明とサンプル プレゼントが産総研地質標本館の青木会員からありました,一番人気はメノウでした.宮澤賢治の著作は春と修羅(詩集)しか読んだことのなかった私(それも 30年以上前)にとっては,宮澤賢治ファンの方々との交流はなかなか刺激的な体験でした.
参加者の方の感想等は,地質学会ニュース誌に投稿予定です.
(山形大学 大友幸子)

 
 
写真4 写真3の左に見える詩碑.高村光太郎により刻まれたもので,後で間違い部分が修正されている.