地質学会はジオパーク、IYPEを積極的に推進しています


日本地質学会会員の皆さんへ

2008年2月
日本地質学会副会長 伊藤谷生

理事会は,日本地質学会の各支部に対し,学会の事業として最重要課題に位置づけているジオパーク設立推進活動と「地質の日」設置における広報・普及活動への積極的な取り組みを要請いたしました.また,これらの活動が,今年を中心年とするIYPE(国際惑星地球年)への協賛事業ともなるように創意工夫をしていただくことをお願いいたしました. いずれの活動も社会に開かれた一般市民レベルでのものになることと思いますので,各会員におかれましては専門家としてそれぞれのお立場で,これらのとり組みにたいしご理解とご協力をお願いいたします.また,支部の一員として所属支部の支部長・支部幹事会等から提起される諸活動にも積極的に加わっていただき,地質学の普及と振興のためこれらの活動を推進し,盛り上げて下さいますようお願いいたします.以下に各支部宛にお願いしたことがらの要旨を掲載いたします.

1.ジオパークの設立推進について
ジオパークの活動は,地質遺産の保全,それを基にした教育研究普及,さらに地域の経済振興(ジオツーリズムの振興)がその大きな趣旨です.この活動は,地質学に依拠するだけではなく,他の社会的価値といかに結びつけ,地域の発展に寄与・貢献できるかが重要なことです.この活動を推進し発展させることは,地質学者ならびに地質学会の地位向上にも大きく貢献するもので,日本地質学会もその一翼を担う重要な活動です.今年の春には,第三者機関である「日本ジオパーク委員会(仮称)」が立ち上げられる予定です.この委員会では,日本の候補地を世界ジオパークネットワークへ登録するための選定をすることになります.そのための一歩として,日本のジオパークを100程度立ち上げることが当面の目標になりそうです.日本地質学会としては積極的にこの事業に貢献するために,各支部に対し下記の協力要請をいたしました.

1)「地質学会ジオパーク支援委員会(仮称)」への委員の推薦
各支部の代表を中心とした「地質学会ジオパーク支援委員会(仮称)」を新たに理事会の下に設置します.各支部から委員を推薦していただき,具体的な検討を開始いたします.

2)各支部の地域内から,ジオパークの候補地を推薦していただく
候補地の選定は,科学的にもちろんのこと,普及・教育活動を行う場所という点においても重要です.これまで多くの研究者によって蓄積された地域の地質学や資源開発,自然災害や防災,環境問題,生活とサイエンスを結びつける話,資源開発に関わる地元の話を発掘するなど,重要な素材が各地に山積していることでしょう.それらを地質学的現象・地質遺産と絡めて,一般市民の興味をひくストーリーを作ることができるかどうかが,ジオパーク設立への鍵となります.ジオパークは,ジオツーリズムによる普及教育と地域の振興に貢献し,ジオパーク設立支援によって地質学の社会的認知度の向上と地球科学分野の研究発展と人材の確保にもつながることが期待されます.

2.「地質の日」の普及イベント活動について
2007年3月に地質学会や産総研など関係組織が発起人となって,5月10日を「地質の日」とすることを決めました.すでにNews誌等でも案内をしていますのでご覧いただいているものと思います.地質学会をはじめとする「地質の日事業推進委員会」*では,今年の5月10日の「地質の日」に向けて,宣伝のポスター作成や,記念日登録**などの広報活動に取り組んでおります.また,全国の地質関係の博物館などにたいしては,地質の日に関連する行事の企画を呼びかけ,既にいくつかの博物館ではそれに応じた計画が進んでおります.
地質学会としては各支部にたいして「地質の日」の広報・普及活動として,以下のような活動を積極的に行っていただくよう要請いたしました.

*
事業推進委員会構成:日本地質学会,日本応用地質学会,日本情報地質学会,日本古生物学会,資源地質学会,日本堆積学会,日本第四紀学会,(独)産総研地質調査総合センター,日本科学未来館,北海道立地質研究所,神奈川県立生命の星・地球博物館,(社)全国地質調査業協会連合会,(社)東京地学協会,(NPO)地質情報整備・活用機構 ,順不同
**すでに記念日登録が完了し,日本記念日協会のWebサイト(http://www.kinenbi.gr.jp/)に掲載されています.

1)5月10日を中心とする,支部としての「地質の日」行事の企画・検討

2)地域の博物館や教育機関からの協力要請にたいしては積極的に応じていただく.

3)地元の博物館や社会教育機関などにたいし,「地質の日」の普及と関連行事等の企画の提案.たとえば,地元の地質百選を活用やジオパークの活動などとセットにした巡検,現場見学,地質相談会,室内での実験.参加型のイベントと合わせた講演会など.

4)「地質の日」の行事企画はWEB(http://www.gsj.jp/geologyday/)や事業推進委員会を通じて紹介.また,独自のサイトがある場合は,地質の日のサイトにリンクを張ることを要請.

3.IYPE事業への参加
国際惑星地球年(International Year of Planet Earth;IYPE)は,国際地質科学連合(IUGS)とユネスコが呼びかけ,2005年12月の国連総会で宣言された,2008年を中心として2007年から2009年を活動期間とするプログラムです.「社会のための地球科学」を標語とし, 災害,資源,健康,気候,地下水,海洋,土壌,地球深部,巨大都市,生命 の10の科学プログラムとアウトリーチプログラムからなります.地質学会も日本IYPE国内委員会に対し,同事業に参加することを表明しました.
各支部に対し,2009年までに実施される支部行事等(ポスター,出版物等)には,IYPEへの参加行事であることを謳い,ポスター,出版物等にはIYPEのロゴマークを積極的に用いることを要請しました.
ロゴマークはWEB(http://www.gsj.jp/iype/index.html)からダウンロードして利用できます.



資 料

ジオパーク推進活動の現状と今後:日本地質学会ジオパーク設立推進委員会(08.1.21)

「地質の日」の地域でのイベント企画例:「地質の日」事業推進委員会事務局(07.11.13)