「原子炉施設の敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)」に関するコメント

一般社団法人日本地質学会

 

  日本地質学会では,「募集案件(37)敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に関わる審査ガイド(案)」につきまして,「地質・地質構造調査に関わる」とことから内容を確認させていただきました。

  内容は,安全審査についてのガイドという観点からは概ね問題はないと思われます。ただし,12ページ〜13ページ 「4.1.2.3 地質調査」の部分は,誤解を生む可能性があると思われますので,ご検討願いたく存じ上げます。

  13ページ〔解説〕に「(7) 断層破砕物質の性状に関する知見は、断層の活動性評価に対し、参考にはなるが、現状では決定的な証拠にならないことに留意する必要がある。」という項目がございます。

  当該審査ガイド(案)を拝見しますと,この部分だけが「現状では決定的な証拠にならない」という否定的な表現になっており,この文章だけ読んでしまうと破砕物質の調査は行う必要はないと受け取られかねません。ところが,敦賀原発や大飯原発の場合など,敷地内断層の有識者会合においては破砕物質の観察がかなり重要なポイントを占めているため,表現を改めてもよいと考えます。

  また,「断層破砕物質の性状に関する知見」とは,何か具体的な性状を念頭において書かれたのかどうか,曖昧に感じられます。念頭においている性状がある場合には,具体的に記述する必要があります。

  同ページの〔解説〕「(5) 断層の活動性評価に対し、断層活動に関連した微細なずれの方向(正断層、逆断層、右横ずれ断層、左横ずれ断層など)や鉱物脈あるいは貫入岩等との接触関係を解析することが有効な場合がある。」に記されている内容は,専門的観点から見て,断層の「性状」に含まれます。すなわち,断層破砕物質は,(5) の議論に対しては有効性があります。一方で,(7) の文案は(5) における断層破砕物質の有効性まで否定する可能性があるため,当該審査ガイド内で矛盾を来たすことを危惧いたします。

  この様な理由から,「4.1.2.3 地質調査」の〔解説〕 (5) と(7) につきまして,内容を再検討していただくよう,よろしくお願い申し上げます。


募集案件(37)敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)(PDF)

原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(案)等に関連する内規に対する意見募集について
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130410_02.html

(2013年5月13日掲載)