現在,原子力規制委員会の中では「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる規制基準」の策定が行われております。その中で,添付の「敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)」が策定され、これに対する意見募集が行われました。これに対して、日本地質学会から以下のとおり意見を提出しましたので紹介します。
なお,「原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(案)等に関連する内規に対する意見募集について」の本文については,以下のURLを参照ください.
http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130410_02.html
募集案件(37)敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)(PDF)
■日本地質学会より提出した意見書はこちら
(2013年5月13日掲載)
2013年2月5日
一般社団法人日本地質学会 会長 石渡 明
1月31日付けで日本学術会議地球惑星科学委員会より「地質地盤情報の共有化に向けて —安全・安心な社会構築のための地質地盤情報に関する法整備—」との提言がなされました.ボーリングデータをはじめとする地質地盤情報は防災・資源・環境に関わる社会的な諸問題を解決するために必要不可欠であることは,我々地質に関わる者にとって言うまでもありません.しかし地質地盤情報の整備・公開,そして情報の共有化は必ずしも進んでいないのが現状です.日本学術会議の提言では,地質地盤情報が社会にとって極めて重要な情報であること,そして地質地盤情報の整備・公開・共有化を進めるためには,法律の制定,共有化等の仕組みの構築,利用促進と国民の理解向上が必要であることが述べられています.このような具体的な提言が日本学術会議からなされたことは極めて高く評価されるものであり,当学会もこの提言に共感し,賛同するとともに、この提言に沿った地質地盤情報の共有化が実現することを切に願うものです.
これまでボーリングデータ等の地質地盤情報を取り扱うのはむしろ工学分野の専門家が多かったように思います.しかし地層を正確に理解するためには,工学的特性のみならず,地質地盤情報を地層の成因まで立ち戻りながら地質学的に総合的に解釈していく必要があります.そのためには地質の専門家が必要であり,まさにそれは日本地質学会会員の大きな役割のひとつと考えます.また提言では,「地質地盤情報の活用を促進し,地質地盤情報が国民の共有財産であることを国民に周知し,理解向上に努めるべき」としています.そのためには防災・資源・環境等の諸問題を解決するために地質地盤情報が極めて重要であることを実際の活用事例として示すことが重要です.日本地質学会は,地質地盤情報に関する科学的基礎研究をより一層推進するとともに、その利用を促進し,その活用事例の公表・アウトリーチの場を積極的に設け,地質地盤情報の重要性,公共性,そして地質地盤情報が国民の共有財産であることについて,国民の理解向上に努めていく所存です.また法律の制定,情報の共有化等の仕組み構築に関しても,地質を専門とする学会の立場から,可能な限り貢献していきたいと考えております.
日本学術会議による提言:「地質地盤情報の共有化に向けて−安全・安心な社会構築のための地質地盤情報に関する法整備−」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t168-1.pdf
(2013年2月5日掲載)