Vol. 20  Issue 1 (March)

[Pictorial Articles]

1. Late Cretaceous forearc ophiolites of Iran
Hadi Shafaii Moghadam and Robert J. Stern

イランにおける白亜紀後期の前弧オフィオライト
Hadi Shafaii Moghadam and Robert J. Stern

 
 

特集号:Thematic section: Paleoclimates in Asia during the Cretaceous: Their variations, causes, and biotic and environmental responses (IGCP Project 507) Part 2
Guest Editors : Takashi Hasegawa and Hisao Ando

白亜紀におけるアジア古気候:多様性,原因および生物と環境の反応(IGCP project 507),その2
長谷川卓,安藤寿男

2. Preface
Takashi Hasegawa and Hisao Ando

序文
長谷川卓,安藤寿男

第507次国際地球科学計画(IGCP)では,白亜紀におけるアジアの古気候の発達に焦点を当てている.本プロジェクトに参画する研究者は白亜紀の気候変化の原因について議論し,テクトニクス,軌道周期あるいは火山活動を強制力とする気候撹乱を探り,また気候変化に対する生物圏における反応を調べている.本特集はIsland ArcのIGCP507に関する特集の第2弾で,19巻4号に掲載された内容を補うものであり,同プロジェクトの第2回(ソウル)および第3回(ウランバートル)国際シンポジウムのプロシーディングスとして編集された.本特集にはアジアにおける白亜紀の堆積環境を扱った5つの論文が掲載されている.その内容は,有機地球化学,微古生物学および古植物学を手法とした研究,そしてシベリア東部から古太平洋北西縁に渡る範囲の古地理・古気候の総括を行った研究成果である.
 

3. Late Cretaceous paleoenvironment and lake level fluctuation in the Songliao Basin, northeastern China
Dangpeng Xi, Xiaoqiao Wan, Luba Jansa and Yiyi Zhang

中国東北部・松遼堆積盆地における後期白亜紀の古環境および湖水準の変動
Dangpeng Xi, Xiaoqiao Wan, Luba Jansa and Yiyi Zhang

中国の松遼堆積盆地東部の湖成層の研究により,ヤオチァ層のサントニアン上部では相対的に乾燥し,かつ暑い古気候であったが,カンパニアン下部のネンチァン層では相対的に温暖湿潤になったことが解ってきた.ヤオチァ層上部は淡水湖環境で堆積したが,ネンチァン層下部は汽水の影響下で堆積した.ヤオチァ層上部の有機炭素含有量は平均0.15%であるが,水素指標は36 mgHC/gTOCであって,これらのことはこの堆積岩が石油根源岩には不向きであり,有機物が木本類や草本類に由来することを示唆している.それとは対照的に,ネンチァン層下部の油母頁岩と黒色頁岩の水素指標は619 mgHC/gTOC,有機炭素含有量は平均3.37%である.これらはケロジェンの起源が藻類と草本類の混合物であり,当時の水域で生物生産性が増加したことを示している.黒色頁岩と油母頁岩のプリスタン/フィタン比およびC295α,14 α,17 α (H)スティグマスタンの20R/(20R+20S)比は低く,最も存在比の高いノルマルアルカンはn-C23である.これらは藻類,バクテリア類および高等植物によって有機物が供給される無酸素的堆積環境を示唆している.油母頁岩では相対的にガンマセランの存在量が多くSr/Ba比が高いが,これらは汽水の存在と塩濃度による湖の成層を示唆している.ヤオチァ層上部からネンチァン層下部にかけての堆積の期間,松遼の湖水準は上昇を続け,湖底で酸素が欠乏するような深い湖環境が形成されていった.湖水深の増加に付随して湖底は富酸素的な状態から無酸素的状態に変わり,高等植物が支配的であった供給有機物はバクテリア,藻類および高等植物の混合物へと変わったことで,石油根源物質が濃集しやすい環境が形成された.
 
Key Words : Cretaceous, lake level fluctuations, microfossil, organic geochemistry, paleoclimate, paleoenvironment, sea ingressions, Songliao Basin
 

4. Polycyclic aromatic hydrocarbons in the Jurassic–Cretaceous Tetori Group, central Japan
Takashi Hasegawa and Tsuyoshi Hibino

ジュラ−白亜系手取層群中の多環芳香族炭化水素
長谷川卓,日比野剛

手取層群試料中の多環芳香族炭化水素(PAH)の分布から,堆積環境や有機物熟成度を推定した.福井県大野市和泉セクションにおける熱熟成度は,赤岩亜層群上部ではビトリナイト反射率換算値が1.35%以下だが,下位に向かって増加し,九頭竜亜層群では2%を超える.PAHの層序分布は熱熟成度分布によりほぼ説明できる.富山県立山セクションのPAH分布もほぼ同様に説明できる.和泉の石徹白亜層群から検出したコロネンは堆積当時の山火事に由来する可能性がある.含硫黄PAHは,淡水成層の試料も含め,両セクションの試料ほぼ全てから検出された.一部の還元態硫黄が再酸化されて元素硫黄となって堆積物中に残り,含硫黄PAH形成に寄与したと推察される.手取層群の含硫黄PAHは海成層と淡水成層とを区別する指標にはならない.
 
Key Words : coronene, methylphenanthrene index, MPI-1, PAH, paleoenvironment, polycyclic aromatic hydrocarbon, Tetori Group, thermal maturity
 

5. Early Cretaceous palynofloral provinces in China: western additions
Jianguo Li and David J. Batten

前期白亜紀の花粉古植物区:西部への追加
Jianguo Li and David J. Batten

中国西部の西蔵(チベット)を含む地域において,2つの明瞭な前期白亜紀の花粉古植物地区が認識できた.一つは,cheirolepidiaceanに属する花粉粒子Dicheiropollisの産出によって示され,もう一つは異なる裸子植物花粉の多産,特にAraucariacitesCallialasporites,によって特徴付けられる.それらの境界はヤールン−ザンボ縫合線に一致する.縫合線の北側では西蔵-塔里木Dicheiropollis 地区が新疆南部から青海-西蔵台地の中・北部,そして雲南の西部にまたがる広い地域を占めている.縫合線の南側の南部西蔵Araucariacites-Callialasporites 地区は南部ゴンドワナ(植物)界と類縁性を持つ.他の花粉古植物地区と群集組成が類似する点がいくつかあるが,これらの2地区は明瞭であり,異なる気候を反映していると考えられる.Dicheiropollis 地区については高温乾燥から準乾燥状態が示唆され,Araucariacites-Callialasporites 地区については,より湿潤でやや冷涼な気候が示唆される.
 
Key Words : Words : Early Cretaceous, Gondwana, paleoclimate, palynofloral province, palynofloral realm, Tethys, western China
 

6. Pseudofrenelopsis fossils from Cretaceous gypsum beds in Guixi, Jiangxi Province, China and their geological significance
Bainian Sun, Jing Dai, Yongdong Wang, Hui Jia, Defei Yan and Zikun Jiang

中国江西省貴渓の白亜系中の層状石膏から産出したPseudofrenelopsisとその地質学的意義
Bainian Sun, Jing Dai, Yongdong Wang, Hui Jia, Defei Yan and Zikun Jiang

中国江西省貴渓市におけるチョウチァティエン層の層状石膏中に植物圧縮化石が発見された.本研究ではPseudofrenelopsis (Cheirolepidiaceae)の2種のクチクラの特徴を走査型電子顕微鏡で調べた.それらはPseudofrenelopsis papillosa Cao ex ZhouとPseudofrenelopsis guixiensis Bainian Sun et Dai sp. nov. である.それら2種の節間表皮と,葉の向軸および背軸側のクチクラを詳細に解析した結果,絶滅属であるPseudofrenelopsisの形態学的および解剖学的特徴についての知識を広げることができた.クチクラの特徴比較に基づいて,新種のPseudofrenelopsis guixiensis Bainian Sun et Dai sp. nov. を提案した.この種と既知の種との違いは,この種が葉の背軸側に毛を持つこと,節間の表皮にある気孔がしばしば副細胞を共有すること,下皮を欠くこと,そして表皮細胞に乳状突起を持たないことである.Pseudofrenelopsis属化石の分布は下部白亜系に限られるため,チョウチァティエン層の年代が前期白亜紀であることが確実になった.Pseudofrenelopsis属の化石は,クチクラが肥厚していること,副細胞に明瞭な乳状突起を持つこと,および強くクチン化した垂層細胞壁を持つことなど,明らかな乾生形態の特徴を示している.また同属の化石の産出は層状石膏に伴っており,赤色層の層準にも近い.これら全ての特徴は堆積場が乾燥気候下にあったことを示している.
 
Key Words : China, Early Cretaceous, gypsum, Jiangxi Province, Pseudofrenelopsis
 

7. The Cretaceous of the East Asian continental margin: Stratigraphy, paleogeography, and paleoclimate
Galina L. Kirillova

白亜紀の東アジア大陸縁辺:層序・古地理・古気候
Galina L. Kirillova

東アジア大陸縁辺,サハリンおよび北海道における,層厚 6 - 10 km におよぶアプチアン−マストリヒシアン期の陸源堆積物のシーケンスについて,岩相層序対比の検討から,これらをもたらした単一の海成堆積盆の存在が明らかとなった.この堆積盆は,セノマニアン期中期まではテチス系−北方系混在動物群と東方に傾斜する堆積面で特徴付けられる.アルビアン期中期からセノマニアン期にかけての活発な火山活動や構造運動が大陸縁の隆起をもたらし,海岸線が東方に移動していった.古植物学的研究は以下のように多くの古気候変動を見出している.アプチアン期は相対的に温暖であったが,アルビアン期初期にはより冷涼になった.広葉の顕花植物が卓越するアルビアン期後期〜セノマニアン期には温暖最盛期となった.後期白亜紀には東アジアの火山帯は標高3000mに達する山脈を形成し,経度方向の気候帯や植生分布を制御した.この制御は緯度的な制御より効果的であった.チューロニアン期に顕花植物のスズカケノキ科(Platanaceae)が広く生息したことは相対的な冷涼化を示している.さらに植物群の証拠は,コニアシアン期初期から温暖気候が進行し,汎世界的な海進に対応するカンパニアン期に最温暖期となったことを指示している.温暖気候の結果として,マストリヒシアン期初期は高多様性生物群によって特徴付けられる.マストリヒシアン期中期になると,動植物群の多様性は減少し季節性の影響が増大していき,マストリヒシアン期末期には冷涼化が起こった.セノマニアン期後期からマストリヒシアン期後期を通じて,石炭の集積期は5つ認められる.大陸縁の陸棚,三角洲,斜面タービダイト相には 0.3〜2.2 %の有機炭素が含まれており,石油・ガスの直接的な徴候とともに,炭化水素探鉱にとっての有望性の証拠とみなされている.
 
Key Words : correlation, Cretaceous, East Russia, Hokkaido, lithostratigraphic succession, paleoclimate, paleogeography, petroleum potential, sedimetary environments
 

 

 

通常論文

[Review Articles]

8. Comparison of rhyolites from continental rift, continental arc and oceanic island arc: Implication for the mechanism of silicic magma generation
Dereje Ayalew and Akira Ishiwatari

大陸リフト帯,陸弧及び海洋性島弧の流紋岩の比較論:シリカに富むマグマ形成のメカニズムとの関連
Dereje Ayalew,石渡 明

エチオピアの大陸リフト帯(漸新−中新世及び第四紀の双方),日本の前期中新世陸弧(日本海拡大に関連する鷲走ヶ岳流紋岩),そして伊豆・小笠原の海洋性島弧という,明瞭に異なる3つの構造場に産する流紋岩について化学組成を議論する.これらを比較すると,海洋性島弧の流紋岩はCaO, Al2O3, Srに富み,K2Oや微量元素に極端に乏しい.対照的にエチオピアの大陸リフト帯の流紋岩はCaO, Al2O3, Srに乏しくK2Oや微量元素に富む.陸弧の鷲走ヶ岳流紋岩は,Nbに乏しい特徴はあるものの,エチオピアの流紋岩とよく似た化学的傾向を示す.これら3つの異なる構造場の流紋岩の化学的特徴の顕著な違いは,マグマが由来した給源物質の違いを示す.今回の比較検討結果は,大局的な構造場と地殻の性質(年代,厚さ,組成)の違いにも関わらず,大陸と陸弧のリフト帯に関連した流紋岩においてはマントル起源マグマからの結晶分化作用が支配的であるのに対し,海洋性島弧の流紋岩においては若い苦鉄質地殻物質の部分溶融が重要であることを示す.
 
Key Words : continental arc, continental rift, fractionation of mantle-derived magma, oceanic island arc, partial melting of mafic crust, rhyolites
 

[Research Articles]

9. Constant slip rate during the late Quaternary along the Sulu He segment of the Altyn Tagh Fault near Changma, Gansu, China
Yeong Bae Seong, Hee Cheol Kang, Jin-Han Ree, Chaolu Yi and Hyeon Yoon

中国甘粛省昌馬付近のAltyn Tagh断層のSulu Heセグメントで測定された後期第四紀における一定のすべり速度
Yeong Bae Seong, Hee Cheol Kang, Jin-Han Ree, Chaolu Yi and Hyeon Yoon

地質学的手法によって求められる千年スケールのすべり速度が,測地学的手法で求められる数十年スケールのすべり速度と矛盾しないのかとの疑問は,チベット高原内における大陸内変形の実体を評価する上で非常に重要である.われわれは,地形学的特徴,リモートセンシングデータ,宇宙線生成核種10Beを用いて求めた地形表面露出年代に基づいて, 中国甘粛省昌馬付近のAltyn Tagh断層のSulu Heセグメントの時間平均すべり速度を決定した.調査域では,第四系扇状地堆積物(Qf1, Qf2, Qf3)は,Altyn Tagh断層に沿った左横ずれ運動により変位している.それらの変位は非常に大きいため,扇頂が扇状地から離れているものも認められる.断層変位の総計は,少なく見積もっても,Qf1では429 ± 41 m,Qf2では130 ± 10 m,Qf3では32 ± 1 mである.また,Qf1およびQf2の地形表面露出年代は,それぞれ100–112 kaおよび31–43 kaである.したがって,Qf1およびQf2の堆積時依頼のすべり速度は,3.7 mm/yrと見積もられる.
 
Key Words : Altyn Tagh Fault, cosmogenic 10Be dating, displacement, Slip Rate
 

10. Petrochemistry and tectonic setting of mafic volcanic rocks in the Chon Daen–Wang Pong area, Phetchabun, Thailand
Apichet Boonsoong, Yuenyong Panjasawatwong and Keatisak Metparsopsan

Chon Dean-Wang Pong地域(タイ国ペッチャブーン県)における苦鉄質火山岩類の地球化学的特徴とテクトニックセッティング
Apichet Boonsoong, Yuenyong Panjasawatwong and Keatisak Metparsopsan

Chon Dean-Wang Pong地域に分布する苦鉄質火山岩類と半深成岩類は,おそらく,タイ北東部のwestern Loei Volcanic Sub-beltの南方延長に当たる.これらは変質が少なく,ペルム紀から三畳紀にかけて形成されたと思われる.通常,斑状組織をなし,斜長石,単斜輝石,斜方輝石,角閃石,Fe-Ti酸化物,未詳の苦鉄質鉱物,燐灰石の斑晶を様々な量比で含む.また,まれにシリイット組織も認められることがある.石基は多くの場合インターグラニュラー組織を示すが,ハイアロオフィチック,インターサータル,オフィチック〜サブオフィチック組織を示すこともある.石基を構成する鉱物は,斑晶あるいは微斑晶のそれと同じで,変質したガラスを含むこともある.斑晶の斜長石は,定向配列を示すことがある.研究対象とした岩石類は,化学的に,グループI,グループII,グループIIIの3つのマグマグループに分けられる.これらのマグマグループは,Zr/Ti比が異なり,グループIの平均Zr/Ti比は83 ± 6,グループIIは46 ± 12,グループIIIは29 ± 5である.この特徴に加えて,グループIは,グループIIとグループIIIに比べ,高いP/Zr比,低いZr/Nb比を持つ.グループIとグループIIは,ソレアイト質安山岩−玄武岩,マイクロ閃緑岩−マイクロガブロからなり,グループIIIは,カルクアルカリ安山岩−マイクロ閃緑岩からなる.マグマの類縁性とN-MORB規格化図におけるNbの負の異常から,これらの岩石は島弧形成に関係した溶岩類であると考えられる.コンドライトで規格化した希土類元素パターンとN-MORB規格図における研究対象とした溶岩類と北部琉球弧の第四紀の溶岩類との類似性は,Chon Dean–Wang Pong地域の苦鉄質火山岩類と半深成岩類が火山弧で形成されたことを結論づける.
 
Key Words : mafic volcanic and hypabyssal rocks, Permian –Triassic, porphyritic, tholeiitic, volcanic arc
 

11. Chemical characteristics of chromian spinel in plutonic rocks: Implications for deep magma processes and discrimination of tectonic setting
Shoji Arai, Hidenobu Okamura, Kazuyuki Kadoshima, Chima Tanaka, Kenji Suzuki and Satoko Ishimaru

深成岩中のクロムスピネルの化学的性質:深部マグマ過程およびテクトニック・セッティングの識別
荒井章司,岡村英伸,角島和之,田中小満,鈴木健之,石丸聡子

超マフィック〜マフィク深成岩(マントルかんらん岩,ダナイト,ウェールライト,トロクトライト,かんらん石ガブロ)中のクロムスピネルの化学的性質を,それらの岩石のテクトニック・セッティング(中央海嶺,島弧および海洋ホットスポット)を考慮してまとめた.上記3つのセッティングは,スピネルの組成範囲はTi含有量とCr#(Cr/(Cr+Al)原子比)によりを識別できる.そのセッティング間の関係は噴出岩中のスピネルの場合と同様であるが,Ti含有量は系統的に深成岩の方が低い.同じ岩相で比べた場合,Ti量は島弧,海嶺,ホットスポットの順に高くなる.このスピネルの性質は,特にダナイトを扱う時に有用である.オマーンとリザードの両オフィオライトのダナイトに応用して起源を論ずる.
 
Key Words : chromian spinel, Cr/(Cr + Al) ratio, tectonic setting, Ti content, ultramafic plutonics
 

12. 83 Ma rhyolite from Mindoro – evidence for Late Yanshanian magmatism in the Palawan Continental Terrane (Philippines)
Ulrich Knittel

ミンドロ島(フィリピン)の83 Maの流紋岩−パラワン大陸地塊における後期Yanshanian火成作用の証拠
Ulrich Knittel

83±1 Maの低変成流紋岩の発見によって,パラワン大陸地塊の北東端に位置する北部ミンドロ島における火成作用の存在がはじめて明らかになった.この地塊は,南シナ海の開裂の結果として漸新世に南東中国から分裂した.白亜紀,流紋岩質火成活動が南東中国に拡がっていたことから,この低変成流紋岩の発見は,白亜紀のパラワン大陸地塊と南東中国との地質学的関連をはじめて結びつけるものであり,さらに,ミンドロ島北東部が,以前考えられていたような東方のフィリピン変動帯の一部ではなく,パラワン大陸地塊の一部であったということをも示唆している.
 
Key Words : U-Pb dating of zircons, Mindoro, Philippines, late Cretaceous rhyolite, volcanism, Palawan Continental Terrane