2018年 会長挨拶

 
このたび2018年総会におきまして,2020年までの2年間の任期にて,一般社団法人日本地質学会の会長(代表理事)に選任されました.与えられた任期の間,どのように学会を運営し,そしてより魅力ある学会へと進化させていくか,会員の皆様に所信を述べさせていただき,ご挨拶とさせていただきます.
 
日本地質学会は,本年,創立125周年を迎えました.この節目を新たなスタートとして,日本地質学会の継続的な維持・発展のために,1)社会への発信と協働,ならびに,2)学会運営と組織体制の再構築,を基本方針として,次の25年の学会の礎づくりに注力したいと考えております.
 
まず,社会への発信と協働において学会の最も重要な事業は,研究活動・成果の発信であることは言うまでもありません.日本地質学会は,地球科学系最大の学会であると共に,地質学界をリードする学会です.成果発信の場である学術大会・学術誌の充実はもとより,新たな研究分野・課題の積極な創出・推進が使命であると考えます.これらを進めていくには,国内・国際学術団体との連携・協力も不可欠です.これについては,重点的に補強した学術研究部会と編集出版部会を中心に推し進めてまいります.
 
また地質学は,防災・減災,社会基盤整備,あるいは環境問題など,私たちの生活と密接に関わる学問分野です.これらの課題解決には,行政機関・産業界との協働・学術連携が不可欠です.これら産官学との連携により,社会の持続的発展における地質学の重要性を,社会へと発信することが重要です.さらに全国の博物館やジオパークとの連携,あるいは市民講演会などを通じて,一般市民や児童・生徒に向けた普及啓蒙活動も推進します.学校における地学教育の充実も,将来を担う次世代後継者育成において重要な課題です.これらについては,広報部会・社会貢献部会を中心に進めてまいります.
 
一方,学会運営と組織体制の再構築では,学会の持続的な事業活動に必要な財務基盤の見直しと様々な階層・地域の会員へのサービス強化,支部組織の補強を進めます.日本地質学会は,多くの他の理学系学会同様,1990年代前半をピークに会員数は減少を続け,この25年間で最大時の約7割の会員数にまでなりました.しかしその間も,継続的な地質学雑誌の出版に加え,新たにIsland Arc誌を創刊し,各地方支部での学術大会も毎年活発に開催してまいりました.これはひとえに,会員の皆様とこれまでの学会執行部と事務局の尽力の賜物と考えております.
 
しかし少子高齢化社会を迎え,会員数減少が避けられない現状では,継続的な学会活動を維持するためには,財務体質の抜本的な改善・強化が喫緊の課題です.そのためには学会事業の継続と会員サービスを考慮しつつ,事業の重点化と集中を進めなければなりません.特に出版事業のあり方と社会事業の収益化は重要であり,学会事業・会員サービスの原資確保に努めてまいります.これについては,運営財政部会を中心に各部会が連携して検討を進めてまいります.
 
また学会には,様々な会員が属しています.学会活動の活性化には,会員一人一人に学会に属している意義・意識を持っていただけることが重要であり,そのためには会員のニーズにあった組織運営とサービスが必要であり,ニュース誌をはじめとした広報媒体の充実と,情報提供と会員サービスの向上を推し進めます.また地質技術者教育など,民間企業に所属する会員にとって有意義な事業の展開に努めます.これらについては,広報部会・社会貢献部会が中心となって推進いたします.
 
これら2つの基本方針に基づいた学会運営には,会員の皆様をはじめとして,執行理事会,専門部会や地方支部が,情報を共有して活動を展開することが必要です.佐々木・平田両副会長をはじめ理事会で力をあわせ,従来以上に各組織間の連携強化を図りたいと考えております.特に事業活動の柱である各専門部会と地方支部の活動については,専門部会連絡会議,支部長連絡会議の機能強化を図ると共に最大限に活用して,地質学会が社会で有効に機能し,存在意義があることを会員・社会に再認識されるようしたいと考えています.
 
会員の皆様には,充分とは言えない内容かもしれませんが,着実に土台を強固にし,次の25年に向けて新たな一歩が確実に踏み出せるよう,長期的視点にたって努めて参りたいと思います.何卒,よろしくお願いします.


2018年6月1日
一般社団法人日本地質学会
会長(代表理事) 松田博貴(熊本大学)