2022年度各賞受賞者 受賞理由

■功績賞(1件) ■H.E.ナウマン賞(1件) ■小澤儀明賞(1件) ■柵山雅則賞(2件)
■論文賞(1件) ■Island Arc Award(1件) ■研究奨励賞(2件) ■学会表彰(1件)

 

日本地質学会功績賞


授賞者:高橋正樹 会員(日本大学)
対象研究テーマ:沈み込み帯のマグマ活動研究を通じた地質学の普及と社会的貢献


 高橋正樹会員は,一貫してプレート沈み込みにより生じるマグマ活動の研究を行い,多彩な功績を挙げると共に,多くの書籍により専門家と非専門家の橋渡しを行う重要な役割を果たされた地質学者である.
高橋会員の研究は,豊富かつ精緻なデータの収集を基本とし,火成岩体の形成過程や分類に関する新たな提案と考え方の再整理という独自の研究手法によるもので,高く評価されるべきものである.主要な研究は,次の5つのテーマに集約される.1)島弧地殻のテクトニクスと火山形成に関する研究,2)九州,大崩山火山深成複合岩体の形成機構,花崗岩系列の分類意義,東アジアの花崗岩帯のコンパイルなど,弧花崗岩に関する一連の研究,3)火口近傍の堆積物に関するプロキシマル火山地質学,4)「日本の第四紀火山カタログ」の作成や火山形成の確率論的将来予測などに基づく高レベル放射性廃棄物地層処分や地質環境長期安定性の研究,そして5)複数の火山ハザードマップ作成委員会への参画や超巨大噴火の火山災害問題についての火山災害研究である.
 これらの成果をもとに,同会員は多数の教科書・参考書・一般向け入門書を執筆された.中でも「島弧・マグマ・テクトニクス」,「花崗岩が語る地球の進化」,「破局噴火」,「火山のしくみ パーフェクトガイド」などの単著は,学部・大学院教育における質の高い教科書・参考書として広く利用され,さらに非専門家に対する地質学の啓蒙に大きく貢献している.大きな社会問題である地層処分や火山災害について「地質学は,国民に科学的・合理的判断の材料を提供する義務がある」とする同会員の考えは,日本地質学会会員が共有すべきものである.同会員は,地質学会の各種委員を永く務められ,「地質学会News誌」の創刊と初期編集への尽力,普及教育事業部会長としてリーフレットの発刊,地質環境長期安定性検討委員会の立ち上げなど,大きな貢献をされた.
 学術研究のみならず,公教育および普及活動においても本学会に多大な貢献をされた高橋会員は,地質学会功績賞の初代受賞者として最もふさわしい会員であると判断される.

 

日本地質学会 H.E.ナウマン賞


授賞者:片山郁夫 会員(広島大学大学院先進理工系科学研究科)
対象研究テーマ:地球内部での水循環に関する研究


 片山郁夫会員は,沈み込み帯のダイナミクスと水の役割および海洋底への水の浸透と地殻構造の研究によって,地球内部のグローバルな水循環やマントルダイナミクスの解明に顕著な貢献をしており,国際的にも高い評価を得ている.
 沈み込み帯での水循環に関する研究では,マントルの加水反応や,それにより形成される蛇紋岩の地震波特性や浸透率を調べることで,沈み込み帯での水の移動や分布が,温度構造に加えプレートの変形とも大きく関わっていることを提案した.また,加水作用によって形成される粘土鉱物や蛇紋石の摩擦特性やレオロジー特性を調べ,スロー地震を含めた多様な地震活動と沈み込み帯での水循環の関連性を指摘した.片山会員による,流体の動的な振る舞いや岩石の粘弾性特性への水の役割の解明は,沈み込み帯で見られる地震・火成活動の多様性を理解する上での新たな視点として大変注目されている.
 海洋底での水循環に関する研究では,オマーン・オフィオライトの陸上掘削プロジェクトに参加し,オフィオライト構成岩石の地震波速度や電気伝導度などの物理特性を系統的に測定することで,海洋底での水循環が主に扁平なクラックに支配されることを明らかにした.海洋底では地球物理観測が実施されているが,地震波速度と電気伝導度は流体分布や連結度に対し異なる応答性を示すことから,片山会員らが進める物性の同時測定は海洋底での物質科学的な理解をさらに進めると期待される.また,計画中のマントル掘削へ向け,地殻とマントル物質の物理特性の違いや水循環の流路として働くクラックの形成プロセスに関する研究にも取り組んでいる.
 片山会員は,上記の研究テーマなどについてこれまでに100編以上(うち筆頭論文33編)の査読付き論文を発表し,国内外の学界に大きなインパクトを与えてきた.同会員が,地質学のみならず地球惑星科学の幅広い分野に関心をもち,野外・実験・観測を融合させた独自の研究分野と手法を開拓してきた点は特筆される.このような同会員のこれまでの業績および今後の更なる発展への期待は,ナウマン賞に値するものである.

日本地質学会小澤儀明賞


授賞者:石輪健樹 会員(国立極地研究所)
対象研究テーマ:海水準変動復元と固体地球モデリングに基づく南極氷床変動メカニズム解明の研究



 石輪健樹会員は,「海水準変動の復元と固体地球モデリングに基づく南極氷床変動メカニズム」に関する研究を行い,特に,全球的な気候変動にリンクした南極を含む氷床の変動メカニズムの分野において特筆すべき成果をあげた.同会員は,研究の第一段階として低緯度域であるオーストラリア周辺と高緯度域である南極大陸の両方を対象とする野外調査を行い,第二段階として海成・湖成堆積物を採取して,これらの試料を高精度で分析し,そして第三段階として固体地球応答モデリングを駆使して高精度の海水準変動を復元した.
 石輪会員は,博士過程では,大氷床から遠く離れた熱帯地域に位置するオーストラリア北部ボナパルト湾にて海底堆積物を採取し,その多くの試料について高精度の放射性炭素年代の測定を行った.これらのデータを地質学的知見とあわせて解析し,最終氷期最盛期(約2 万年前)を含む2万9千年前から1万4千年前の期間を対象に海面変動および氷床変動を解析した.その結果,この期間に大陸氷床は,従来考えられていたような単調な1段階で拡大したのではなく,2段に分かれて発達したことを解明し,同分野で注目をあびた.
 石輪会員は日本南極地域観測隊(第61次,2019年)に参加し,地形調査チームのリーダーとして,観測隊史上初のボートを用いた浅海域海底調査を含む,約2ヶ月間の極域野外調査・海洋観測を成功に導いた.南極氷床は全球的気候変動を理解する上で重要であるが,その変動メカニズムは十分に解明されてこなかった.さらに,南極氷床の融解は将来の気候変動予測においても大きな不確定要素で,氷床の発達と融解の評価は緊急の課題となっている.南極周辺の相対的海水準は巨大氷床の荷重を反映して変動するため, 固体地球応答モデルを用いた海水準の補正が必須となる.同会員は固体地球応答モデル駆使した適切な補正を通して,南極の沿岸域における海水準変動に関わる地質記録を精度高く復元した.その結果,最終氷期最盛期の数万年前より南極氷床の一部が大きく成長した可能性を初めて明らかにした.非常に難しい課題である氷床の量的な推定について,本研究は最終間氷期以降の南極氷床の変動史に定量的な制約を与えた.この成果はこの分野の研究に重要な進歩をもたらした.
 このように石輪会員は,海水準変動を軸として,低緯度域と高緯度域における氷期・間氷期の環境変動を地球的規模で考察するという独自の視点を有し,地質学的手法を用いて研究を推進してきた.今後,これらの研究を南極周辺の海域での堆積物の研究に発展させ,全球的な気候変動の研究へと,自身の研究分野を幅広く展開するビジョンを有している.その独創的な研究手法と実地調査に基づく全球的気候変動に関する卓越した研究成果,そしてその将来性は,小澤儀明賞に値するものである.

日本地質学会柵山雅則賞


授賞者:岡啓史 会員(海洋研究開発機構)
対象研究テーマ:高温高圧変形実験に基づく岩石レオロジー研究


 岡啓史会員は,高温高圧変形実験を軸に,プレート沈み込み帯における岩石レオロジーの研究において目覚ましい成果を挙げてきた.研究成果の多くは,既存の実験技術によるものではなく,実験装置を自ら改良し,新しい手法を提案し従来の問題点を克服していることは特筆すべき点である.岡会員のこれまでの研究開発成果の中でも以下の3点は特筆される.
 まず,蛇紋岩の熱水環境下における摩擦実験によって,蛇紋岩の脱水温度付近でスロースティックスリップが起こることを初めて示した業績がある.これはマントルウェッジの温度条件下において,剪断帯での蛇紋岩の局所的な脱水がスロー地震の発生に重要な役割を果たすことを示唆する発見であった.さらに中深発地震発生に密接に関わっていると考えられるローソナイトを用いた高温高圧下での破壊実験により,ローソナイトの脱水反応に伴って微小なアコースティックエミッション(AE)およびスティックスリップが生じることを明らかにした.また,地震発生帯深部における含水断層帯のレオロジーを決めるために,試料中の水の量を系統的に変えて高温高圧変形実験を行い,6%の水によって強度が半減することを解明した.この研究によって,粒間に存在する水の量が断層レオロジーに大きな影響を与えることが明らかとなった.
 岡会員は,ガス圧式と固体圧変形試験機による研究開発のみならず,最近では回転式ダイヤモンドアンビル装置を用いた放射光超高圧超大歪み変形実験にも取り組みはじめ,地殻表層から下部マントルに至るまでの岩石レオロジーの統一的理解を目指している.また,ICDPオマーンオフィオライト掘削計画へも参加し,掘削コア試料のCTスキャンデータを利用した鉱物組成解析などの変形実験以外の研究も進めている.
 以上のように,同会員はプレート沈み込み帯における岩石レオロジー解明に顕著な貢献があり,今後も構造地質を含めた地質学研究を国際的に牽引していくことが嘱望される.岡会員の業績および今後の活躍への期待は,柵山雅則賞に値するものである.

日本地質学会柵山雅則賞


授賞者:宇野正起 会員(東北大学大学院環境科学研究科)
対象研究テーマ:プレート収束帯における動的な流体活動


 宇野正起会員は,「プレート収束帯における動的な流体活動」を明らかにするために,相平衡岩石学と地球化学,水理学を融合した独自の手法を開拓し,野外調査・反応輸送解析・水熱反応実験のアプローチから特筆すべき成果を挙げてきた.
従来の変成岩岩石学は,相平衡に基づく温度・圧力といった示強性変数の推定が主流であり,元素移動解析に基づく示量性変数の推定や広域的なマスバランスを制約しようとする研究はほとんど行われてこなかった.宇野会員は,三波川変成帯の苦鉄質片岩について,詳細な全岩化学組成分析を行い,後退変成反応の進行度と対応させることで,流体が関与した大規模な元素移動が起きたことを示した.最近では,変成岩の元素輸送解析に機械学習の方法論を導入し,決定木を用いた玄武岩質変成岩の原岩化学組成の推定と,元素移動履歴を制約する新手法を開発している.
 また同会員は,南極セール・ロンダーネ山地では花崗岩質脈の反応帯を用いた元素移動解析を行い,地殻にメルトから大量の過剰水が供給されることを示した.さらに,鉱物脈反応帯における燐灰石中の塩素濃度プロファイルに着目し,反応輸送モデルを適用することにより,流体流入継続時間が約10時間と非常に短いことを示した.この反応輸送モデルと相平衡解析,水理学解析を組合せることで,流体圧勾配や地殻透水率など,従来は見積もることが困難であった高温高圧下での動的な流体流動の物性を,天然岩石から実証的に制約する方法論を確立した.短時間の流体活動を岩石学的に検出できることは,岩石学の枠組みを大きく広げるものであり,地質学的現象と地球物理学的観測を同時間スケールで対比可能とする,新たな岩石学の展開と可能性を示した.
 さらに北米西岸フランシスカン帯の蛇紋岩についてフィールド調査を展開し,サンアンドレアス断層直上の蛇紋岩体の詳細な反応履歴を明らかにした.蛇紋岩化反応をはじめとした体積膨張反応が引き起こす反応誘起応力に着目し,反応時の応力発生や亀裂生成,透水率変化を計測する独自の水熱反応実験装置を開発した.その結果,体積膨張する加水反応において破壊が生じ,流体流れと反応が自己加速化することを,世界で初めて実験的に示した.さらに無次元化解析から,亀裂生成や空隙閉塞などの力学・水理学応答の多様性を説明するパラメータを提唱するなど,幅広く研究を展開している.
 以上のように,宇野会員は,従来の岩石学の枠にとらわれず,独創的なアイデアと研究手法に基づいて研究を進めており,これまでに蓄積した成果と大いに期待されるその将来性は,柵山雅則賞に値するものである.

Island Arc Award


対象論文:Isozaki, Yukio, 2019, A visage of early Paleozoic Japan: Geotectonic and paleobiogeographical significance of Greater South China. Island Arc, 28: e12296.

Tectonic evolution of Great South China (GSC) during early Paleozoic is fundamental for considering the origin of the Japanese Islands, but has not yet been fully understood. Nevertheless, zircon U-Pb dates of Paleozoic granitoids and sandstones have provided critical information on the continental margin along which proto-Japan began to grow. Based on currently available dataset of the dating as well as paleogeographic data, Isozaki (2019) reconstructed the early Paleozoic evolution of Japan. He suggested that the tectonic setting changed from a passive continental margin (Stage I) to an active margin (Stage II) during Cambrian when the oldest arc granitoid, high-P/T blueschist, and clastic sediments were formed. The predominant occurrence of Neoproterozoic zircons in Paleozoic rocks indicates that the relevant continental block was a part of South China, probably forming a northeastern segment of GSC. He reconstructed that GSC was probably twice as large as the present conterminous South China. In addition, he summarized the faunal characteristics of the Permian marine fauna in Japan, which are in good accordance with the relative position of GSC with respect to the North China block during the late Paleozoic. This extensive summary and novel reconstruction provided clear pictures of the geological history of the Japanese Islands and prospective for future researches for the readers of Island Arc. Therefore, we decided that the paper by Isozaki is suitable for Island Arc Award in 2021.

>論文サイトへ(wiley)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/iar.12296

 

日本地質学会論文賞


対象論文:Takashima, R., Hoshi, H., Wada, Y., Shinjoe, H., 2021. Identification of the source caldera for the Middle Miocene ash-flow tuffs in the Kii Peninsula based on apatite trace-element composition. Island Arc, 30, e13039. doi: 10.1111/iar.12404

紀伊半島に分布する中新世カルデラ群(大峰,大台,熊野北,熊野カルデラ)の火砕岩類は,鉱物組み合わせや全岩の主成分・微量成分化学組成が類似していることから,各カルデラの特徴を区別することが困難であった.著者らは,本論文でこれらのカルデラの火砕岩類に含まれるアパタイトの微量元素組成を明らかにし,各カルデラの火砕岩類の特徴を識別可能であることを示すとともに,噴出相である火砕流堆積物とカルデラ地下の火砕岩脈を対比することが可能であることを示した.また,紀伊半島中央部に広く分布する中新統室生火砕流堆積物と石仏凝灰岩のアパタイト微量元素組成も検討し,その組成が大台カルデラのものと一致することを明らかにした.アパタイトは埋没続成や溶結の影響をほとんど受けないため,本研究で示されたアパタイト微量元素組成に基づく方法は,従来の一般的なテフロクロノロジーの手法を適用することが困難な変質火砕物や先新第三紀火砕岩の層序対比に大きな進展をもたらすことが期待される.本論文は今後多くの研究に参照されると考えられ高く評価される.以上の理由から,本論文に日本地質学会論文賞を授与する.

>論文サイトへ(wiley)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/iar.12404

日本地質学会研究奨励賞


受賞者:中西 諒 会員(東京大学大気海洋研究所)
対象論文:
中西 諒, 岡村 聡,2019,1640年北海道駒ヶ岳噴火による津波堆積物の分布と津波規模の推定.地質学雑誌,125(12), 835-851.

本論文では,内浦湾から胆振海岸西部にいたる8地域において1663 年有珠山噴火テフラUs-b の下位にあるイベント堆積物を調査した.このイベント堆積物は1640 年の駒ヶ岳噴火テフラKo-d に覆われていることから,1640 年の駒ヶ岳噴火で引き起こされた山体崩壊津波によるものと判断された.その規模を推定するため,イベント堆積物の分布調査,層厚・粒度・鉱物組成解析を行い,その結果が妥当であるかを評価するため山体崩壊物流入数値シミュレーションを用いて検討した.その結果,この堆積物は1640 年の駒ヶ岳噴火津波で説明可能であることがわかった.この研究では,分布推定地域の各地においてコア等を用いた詳細な堆積物の調査・分析を行っているだけでなく,数値シミュレーションなどの手法を加味して,その規模の検討を行っていることは特筆される.さらに,津波マグニチュードの推定も行っており,津波評価の質のさらなる向上を目指している.本研究は,近年の若手研究者による津波(堆積物)研究を代表するものであり,多面的な角度から検討した姿勢は高く評価される.以上の理由から,中西 諒会員に日本地質学会研究奨励賞を授与する.

>論文サイトへ(J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/125/12/125_2019.0032/_article/-char/ja/

日本地質学会研究奨励賞


受賞者:加藤悠爾 会員(筑波大学生命環境系)
対象論文:
加藤悠爾・柳沢幸夫,2021,秋田県出羽山地の笹森丘陵に分布する新第三系の地質と珪藻化石層序.地質学雑誌,127(2),105-120.

出羽山地は日本海拡大期以降の東北日本弧の古環境及びテクトニクスの変遷を解明する上で重要であるため,古くから層序・古生物学的研究が行われてきた.東北日本弧日本海側の海成中新統には複数層準に海緑石濃集層が知られており,層序対比や古環境の検討で注目されてきたが,その実態や年代には不明な点が多かった.本論文では,海緑石濃集層を含む出羽山地笹森丘陵の新第三系の地質と珪藻化石層序を詳細に調査し,数多くのセクションでの柱状図作成と岩相層序・珪藻化石層序の観点からのセクション間対比,及び地質図作成などによって,調査地域の約17 Maから4 Maまでの年代層序を確立した.従来整合とされてきた船川層と女川層との間にハイエイタスが存在することを明らかにし,海緑石濃集層の年代を推定し,海緑石濃集層で堆積が停滞していたことを実証した.これらの成果は,日本海拡大後の古環境変遷の原因を探究する上で重要な知見になった.地質を調査する若手が減少する状況で,基礎的な地質調査と精緻な研究を行っていることは高く評価される.以上の理由から,加藤悠爾会員に日本地質学会研究奨励賞を授与する.

>論文サイトへ(J-STAGE)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/127/2/127_2020.0058/_article/-char/ja/

学会表彰


受賞者:伊与原 新氏(小説家・推理作家)
表彰業績:地球惑星科学研究をいかした小説発表とそれによる科学知識の普及


地球科学に関するフィクション及びノンフィクション小説は,地球惑星科学に携わる研究者・教育者を含む多くの国民に想像する楽しさを与えるだけでなく,専門的知識も与えてくれる.伊与原新(本名:吉原 新)氏は,固体地球物理学の研究で博士(理学)(東京大学)の学位を取得後,大学教員として地球惑星科学の研究・教育に携わり,小説家として活動するという経歴を持つ.これまでに長編・短編合わせて20編以上の作品を発表し,第30回横溝正史ミステリ大賞受賞,第38回新田次郎文学賞受賞を取得している.小説には,専門とした地球惑星科学だけでなく,広く自然科学のさまざまな専門的知識が効果的に散りばめられており,地層や岩石,化石,ハイエタスなどの専門的知識が含まれた小説もある.初期の『磁極反転の日』や『ルカの方舟』には高度な専門知識が散りばめられていたが,最近の小説ではより科学知識が洗練され読みやすくなっている.これらの伊与原氏の小説では,読者はSFの物語の世界で想像する楽しさを味わいながら,科学の知識と考え方についても知ることができる.小説による国民への地質学の科学知識の普及という点で,伊与原氏の貢献は大きいと評価される.以上の理由により,伊与原新氏に日本地質学会表彰を授与する.