報告書等の作成に関して—知っておくべきこと—


知的財産基本法が制定されそれに伴い著作物等の保護について厳格に法規制されておりますことは周知の事実でありますが,地質学会においてもコンプライアンス面からも,知的財産基本法を遵守しております.
研究成果の報告書を作成に当たり地質学雑誌等の論文を複製・転載する場合は必ず学会の許諾を取っていただく必要があります.以下に報告書等の作成に当たり必要な手続きについてお知らせいたします.

 

報告書等の作成に関して—知っておくべきこと—

2009年4月
日本地質学会理事会・法務委員会

 

1.お願い
研究成果等の報告書作成にあたり,共同研究者の論文や関連の論文を掲載する場合は,以下の通りに地質学会の許諾が必要です.販売等を目的にしない報告書を作成される場合は,論文の複製を学会側が拒否する可能性はほとんどないものと思いますが,必ず,学会から許諾を取ってください.その場合,報告書等には,「複製については**学会の許諾を得た」と記載しておく必要があります.

2.投稿中の論文査読に関連する文書について
なお,論文の公表,未公表の段階によらず,投稿論文の査読に関わる文書類は査読者の著作物に当たります(著作権法により保護されます)ので,必要な手続き無しに著者が公開する事は違法となる恐れがあります.ただし,当該団体の編集規則に査読文書類の取り扱い規定があれば,それに従うことになるものと思います.

3.論文等の著作権について(説明)
地質学雑誌掲載論文の著作権は,著者から著作権譲渡に同意してもらっていますので学会にあります.地質学会では,地質学雑誌等に掲載した論文の一部を著者自身が使うことについては許諾不要としました.ただし,論文全部をまるごと複製することには同意していませんので,全部を複製する場合は学会の許諾を必要とします.つまり,報告書等に論文をまるごと無許可で掲載すれば違法となります.
また,地質学会以外で発表した論文等で,著作権を自分が持っている場合でも(契約書に期間が定められていなければ),出版元には独占出版権が3年間あります.執筆して3年以内のものについては,特定の規定がない限り,まるごと複製,転載する場合には許諾が必要であると思われます.

参考:著作権法(昭和45年法律第48号 1971年1月1日施行 ),知的財産基本法(平成14年法律第122号 2003年3月1日施行)では以下の通りに定められています.

著作権法は,「著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もつて文化の発展に寄与することを目的としている」ものです.
知的財産とは,知的財産基本法第二条に定義されており,以下の条文となっています(抄).

第2条    この法律で「知的財産」とは,発明,考案,植物の新品種,意匠,著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって,産業上の利用可能性があるものを含む.),商標,商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう.
2 この法律で「知的財産権」とは,特許権,実用新案権,育成者権,意匠権,著作権,商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう.