「県の石」:近畿

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滋賀県の「県の石」

◆滋賀県の岩石 湖東流紋岩(主要産地:滋賀県南東部(東近江市永源寺,近江八幡市安土など))
  展示している場所:滋賀県立 琵琶湖博物館,多賀町立博物館
約7000万年前(後期白亜紀)の火山活動によって噴出した溶結凝灰岩で,琵琶湖の南東部に主に分布することからこのように呼ばれている.京都の更新世の地層中にはこの岩石が礫として見つかることから,当時の水系の理解が進んだ.現在の分布している場所は,永源寺や長命寺,安土城といった観光名所周辺にも見られ,その景色の一部を構成している.(写真提供:里口保文)
   
◆滋賀県の鉱物 トパーズ(主要産地:滋賀県大津市(田上山))
  展示してある場所:琵琶湖博物館
トパーズは黄玉という名前でも知られている.滋賀県の田上山のトパーズは,後期白亜紀の花崗岩類中に産し明治20年代には学術論文に記載されている.多量に産出していたらしく,研究者や愛好家によく知られてきた.地元の年配の方からは「昔は山道でもよく見つけられた」との話を聞くが,現在はきれいな形のものは見つけるのが難しくなっている.田上山は,水晶の産地としても,江戸時代にはすでに有名だったことが当時の著書からわかる.(写真:田上山産出のトパーズ.個人蔵)
   
◆滋賀県の化石 古琵琶湖層群の足跡化石(主要産地:滋賀県湖南市野洲川河床)
  展示している場所:滋賀県立 琵琶湖博物館,甲賀市 みなくち子どもの森 自然館,多賀町立博物館(産地が異なるもの)
1988年にこの場所で約260万年前のゾウ類やシカ類の足跡化石が発見され, これを契機として日本の鮮新世〜更新世の地層から多くの足跡化石が調査されるようになった.調査が行われた当時の化石は,川の流れによって削られたが,その後に新しい地層面中の足跡化石が露出し,これまでに,ワニ類,鳥類,サイ類の足跡化石が見つかっている.他の地域の古琵琶湖層群からも多くの足跡化石がみつかっている.(野洲川河床の足跡化石.ゾウ類とシカ類.撮影:岡村喜明)
   

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奈良県の「県の石」

◆奈良県の岩石 玄武岩質枕状溶岩(主要産地:玉置山山頂,吉野郡川上村深山の吉野川河床,川上村下多古,十津川村折立など)
  枕状溶岩は海底火山活動で噴出した溶岩で,多くは玄武岩質である.立体的に見える場合,数十cm程度の径をもつチューブ状である.断面が見える場合,形状は楕円形ないし円形で放射状割れ目が発達する.奈良県内の枕状溶岩は一億年以上前(主に後期三畳紀と前期白亜紀)に形成された後,ぞれぞれプレートによって運ばれてきたものであり,その周辺に分布する堆積岩類とともに大陸の縁にくっついて付加体を構成している.(写真提供:和田穣隆)
   
◆奈良県の鉱物 ざくろ石(主要産地:二上山)
  ざくろ石は赤くきれいな結晶で,二上山の火山岩に含まれているものが有名である.ここのざくろ石はおよそ1仟腓如で珊反Г鬚靴薪簡の多い種類が産する.付近の川底や沖積層には火山岩が風化して,硬いざくろ石だけが取りだされて堆積している.川砂などから採掘したざくろ石は“金剛砂”とよばれ,研磨剤として利用されてきた.(写真提供:佐藤隆春)
   
◆奈良県の化石 前期更新世動物化石(主要産地:奈良県北葛城郡広陵町〜河合町(馬見丘陵))
  展示してある場所:奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
馬見丘陵では開墾や宅地開発に伴い,アケボノゾウの臼歯が1点,種類不明の長鼻類の切歯(牙)が4点,ならびにシカマシフゾウの角が1点発掘されている.アケボノゾウとシカマシフゾウは,ともに日本の前期更新世を代表する哺乳類である.アケボノゾウは肩高2m足らずの小さなゾウで,類似の種は大陸で見つかっていない.その祖先が大陸から渡来したあと日本列島が島嶼化したため,日本列島固有種となったと考えられる.(写真提供:奈良県立橿原考古学研究所附属博物館)
   

 

京都府の「県の石」

◆京都府の岩石 鳴滝砥石(前期三畳紀珪質粘土岩)(主要産地:京都市右京区)
  展示してある場所:梅が畑 平岡八幡宮(原石),宇多野 福王寺神社遍照額(原石)
丹波帯のジュラ紀付加体中の前期三畳紀珪質粘土岩およびその上位に堆積する中期三畳紀チャート−粘土岩互層の細粒泥質部が弱い変成作用を受けた後風化を受けてやや軟質となったもので,刃物を研磨する砥石として活用されている.鎌倉時代より採掘されており,鳴滝砥石または合砥(あわせと)と呼ばれている.主に細粒の石英粒子およびイライトその他の粘土鉱物より構成されていて,鋭利な刃物の研ぎ出し用の砥石として珍重されている.(写真提供:武蔵野 實)
   
◆京都府の鉱物 桜石(主要産地:京都府亀岡市ひえ田野町柿花、湯ノ花温泉付近)
  展示してある場所:益富地学会館、眦張リスタルミュージアム
三畳紀からジュラ紀の丹波帯の泥質岩が白亜紀の花崗閃緑岩体の接触変成作用を受けたことにより菫青石とインド石(高温型の菫青石)からなる六角柱状結晶が多数生じた.この結晶が外形を残して細粒白色の雲母に変質したものが桜石である.柱状結晶の長軸に垂直な断面(径3〜10mm)は桜の花が開いたように見える.細粒の酸化鉄により桃色を示すものもある.桜石は地元では古くから知られ,桜天満宮境内にみられる桜石は国の天然記念物に指定されている.(写真提供:貴治康夫)
   
◆京都府の化石 綴喜(つづき)層群の中新世貝化石群(主要産地:京都府綴喜郡宇治田原町)
  展示してある場所:宇治田原町総合文化センター,京都教育大学まなびの森ミュージアムなど
京都府綴喜郡宇治田原町の市街地,東西約6km,南北約1.6kmの盆地内には,中期中新世の綴喜層群が広がっている.そこには浅海の暖温帯水から冷温滞水を好んで生息する貝化石群が産出している。貝化石が豊富に含まれることで有名だが,多量に採取され,現在では京都府によって保護すべき対象とされている.(写真上:Dosinia nomuraiとAcila submirabilisの写真,下:Nipponomarcia nakamuraiの貝化石密集写真 写真提供:田中里志)
   

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三重県の「県の石」

◆三重県の岩石 熊野酸性岩類(主要産地:三重県東紀州地域)
  展示してある場所:三重県総合博物館
熊野酸性岩類は約1500万年前(中期中新世)の巨大カルデラ火山活動で生じた火成岩体である.三重県東紀州地域にも分布し,流紋岩質の溶岩や火砕岩(火砕流堆積物),貫入岩を形成している.火砕岩は鬼ヶ城や獅子岩,花の窟神社といった世界遺産のダイナミックな景観を形作っており,貫入岩は楯ヶ崎のような切り立った柱状節理をよく発達させている.一方,それらの険しい地形が土石流災害の要因にもなっている.(写真:楯ヶ崎(熊野市甫母町)提供:後 誠介)
   
◆三重県の鉱物 辰砂(しんしゃ)(主要産地:丹生鉱山)
  展示してある場所:三重県総合博物館(津市),ふるさと交流館せいわ(多気郡多気町)
辰砂は水銀の原料である.古くから丹生の辰砂は有名で,奈良東大寺の大仏造立時の鍍金の際に丹生の水銀が使用された.その後,丹生は水銀座ができるほど水銀の町として知られていた.丹生の水銀鉱床の分布域は中央構造線付近の内帯の領家花崗岩類と外帯の三波川変成岩類の両方に延びている.鉱床ができたのは,新生代新第三紀中新世のころである.また,辰砂を主としているが,まれに黒辰砂を伴う.随伴鉱物としては,鶏冠石などがある.(写真:辰砂(松阪市小片野産),提供:三重県総合博物館)
   
◆三重県の化石 ミエゾウ(主要産地:三重県津市,亀山市,伊賀市,鈴鹿市,桑名市など)
  展示してある場所:三重県総合博物館(全身骨格復元模型,切歯,上顎骨など)
ミエゾウは,およそ350万年前(鮮新世)に生息していた太古のゾウ.学名に Stegodon miensis(ステゴドン・ミエンシス)と種小名に三重の名が付けられている.九州から東北地方にかけて化石が報告されている.特に三重県内に産地が集中し,津市,亀山市,伊賀市などで発見されている.最大で全長8メートル,高さ4メートルあったと推定され,今のところ日本国内から化石の発見された陸上哺乳類としては最も大きい.(写真:全身骨格復元標本.三重県総合博物館展示)
   

大阪府の「県の石」

◆大阪府の岩石 和泉石[和泉青石](砂岩)(主要産地:和泉山脈)
  展示してある場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23),きしわだ自然資料館(大阪府岸和田市堺町6-5)
和泉石(和泉青石)は,後期白亜紀の和泉層群に産する砂岩を元とした石材である.和泉層群は西南日本の中央構造線に沿って分布する地層で,近畿地方では大阪府・和歌山県の県境の和泉山脈や淡路島などに分布する.和泉山脈の稜線部の和泉層群は砂岩泥岩互層からなり,その中の厚い砂岩が石材(和泉石)として古くから利用されてきた.今でも岸和田城の城壁や大阪府泉南地域の石垣などに用いられているのを見ることができる.(写真提供:大阪市立自然史博物館(左上,左下,右上),きしわだ自然史資料館(右下))
   
◆大阪府の鉱物 ドーソン石(主要産地:泉南(泉南市,泉佐野市,貝塚市,岸和田市など))
  展示してある場所:大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区長居公園1-23),きしわだ自然資料館(大阪府岸和田市堺町6-5)
ドーソン石は,ナトリウムとアルミニウムを主成分とする炭酸塩鉱物NaAl(CO3)(OH)2で,針状結晶が放射状に集合し,白色で絹糸光沢.国内での産出は稀であるが,白亜紀末の化石産地として有名な大阪府南部の和泉層群畦谷泥岩部層分布域からはふつうに産出する.化石をさがして石灰質のジュールを割ると,化石とともにあたかも石の表面に白い花が咲いたようなドーソン石が見つかり,一度に二度おいしい思いができる.(写真提供:大阪市立自然史博物館)
   
◆大阪府の化石 マチカネワニ(主要産地:大阪府豊中市柴原の待兼山丘陵(大阪大学豊中キャンパス))
  展示してある場所:大阪大学総合学術博物館(実物・レプリカ),大阪市立自然史博物館(レプリカ)など
1964年発見.日本で初めて見つかったワニ類の全身骨格化石.頭骨・下顎骨をはじめ,尾椎を除くほとんど全身の骨格が発掘されている.生息時の全長は6.9mから7.7m,体重は1.3tと推定.中期更新世(約50万年前)の地層から産出.最初Tomistoma属の新種で,Tomistoma machikanenenseとされたが,後にToyotamaphimeia machikanensisに改められた.ただし最近の研究では,現生のマレーガビアル(Tomistoma schlegelii)に最も近縁であるとされている.











(写真左:大阪市立自然史博物館レプリカ,写真右:大阪大学総合学術博物館)
(注)年代表記に誤りがありましたので,訂正いたします.(2016.5.11)
(注)文章の補足・修正し,産地の表記をリストと統一しました.下線部(2016.5.16)
   

和歌山県の「県の石」

◆和歌山県の岩石 珪長質火成岩類(主要産地:潮岬地域の橋杭岩,古座川弧状岩脈の一枚岩,虫喰岩など)
  展示してある場所:和歌山県立自然博物館,吉野熊野国立公園宇久井ビジターセンター
県南部の「橋杭岩」・「古座川の一枚岩」・「高池の虫喰岩」などの奇岩群は,1500万年前頃(中期中新世)の珪長質マグマによる巨大カルデラ火山活動の産物である.いずれも流紋岩質で,火砕岩や火山岩が岩脈を形成しているものが多い.特徴的で珍しい景観が風化・浸食により造り出されているが,火砕岩によく発達する虫喰い状の大小無数の洞窟は塩類風化によるものとされ,特異な景観が際立っている.(写真:高池の虫喰岩 (古座川町池野山))
   
◆和歌山県の鉱物 サニディン(主要産地:太地町)
  展示してある場所:和歌山県立自然博物館
サニディンは長石の一種であり,カリウムを多く含むアルカリ長石に属する.一般に花崗岩や流紋岩といった珪長質火成岩類によく含まれている.太地町産のものは1500万年前頃(中期中新世)に形成された熊野酸性岩類の岩脈に含まれる自形斑晶である.板状ないし方柱状で1 cm前後の比較的大きなものの多いことが特徴であるが,風化・変質のため乳白色を呈するものが多く見られる.(写真:サニディン(和歌山県立自然博物館))
   
◆和歌山県の化石 白亜紀動物化石群(主要産地:有田川流域(有田川町など)
  展示してある場所:和歌山県立自然博物館
和歌山県有田郡には白亜紀の海成層が東西に帯状になって分布しており,各地よりアンモナイトや二枚貝などの軟体動物の化石を産出する.これらの化石については大正時代以降多くの研究がなされ,なかには和歌山の地名に由来した種名で記載されたものもある.また,最近では全体の50%以上の骨格が保存されたモササウルス類(海棲爬虫類)の化石が発見されており,注目を集めている.(写真:モササウルス(和歌山県立自然博物館))
   

兵庫県の「県の石」

◆兵庫県の岩石 アルカリ玄武岩(主要産地:豊岡市赤石・玄武洞)
  展示してある場所:玄武洞で見学可能.兵庫県立人と自然の博物館,玄武洞ミュージアムで展示.
豊岡市玄武洞周辺を構成する約160万年前のアルカリかんらん石玄武岩.玄武洞は美しい柱状節理と「玄武岩」という岩石名の由来となったことで,国の天然記念物となっている.また松山基範が地球磁場の逆転を唱えるきっかけとなった場所として国際的にも知られ,山陰海岸世界ジオパークを代表する見学地である.玄武洞はもともと採石場であり,市内各地の伝統的な石積みや漬物石に使用されている.(写真:玄武洞公園(青竜洞))
   
◆兵庫県の鉱物 黄銅鉱(主要産地:明延鉱山)
  展示してある場所:生野鉱物館(生野銀山文化ミュージアム),兵庫県立人と自然の博物館
兵庫県内には白亜紀末〜古第三紀初頭の火山活動に関係する熱水鉱脈鉱床が多数存在している.なかでも生野鉱山は銀,明延鉱山は銅の鉱山として古くから開発され,織田信長・豊臣秀吉の支配を経て江戸時代には幕府直轄領,明治時代には官営の鉱山となり,日本の鉱業を支えてきた.生野・明延鉱山は国内有数のスズの鉱山としても知られたが,両鉱山や兵庫県内の類似の鉱山を代表する鉱物として,黄銅鉱がある.(写真:明延鉱山産黄銅鉱(兵庫県立人と自然の博物館所蔵))
   
◆兵庫県の化石 丹波竜(タンバティタニスアミキティアエ)(主要産地:丹波市山南町,篠山川河床)
  展示してある場所:兵庫県立人と自然の博物館,丹波竜化石工房「ちーたんの館」
2006年に前期白亜紀の篠山層群から発見された竜脚類で,丹波竜はその愛称.その後2014年に新属新種であることが判明し,タンバティタニスアミキティアエ(Tambatitanis amicitiae gen. et sp. nov.)と命名された.この発見がきっかけで,さらに他の恐竜・爬虫類・両生類・ほ乳類化石の発見が相次ぎ,それらを活用した地域の活性化につながるなど,大きな影響を与えた.(写真:タンバティタニスアミキティアエ(Tambatitanis amicitiae gen. et sp. nov.)の尾椎(兵庫県立人と自然の博物館所蔵))
   

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