第16回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:雪化粧したフォッサマグナ

写真:名知典之(愛知県)
撮影場所:長野県上空
 

 

【撮影者より】
上空から見たフォッサマグナは,妙高山,黒姫山など個性的な山々や,野尻湖など複雑な地形に富んでいました.

【審査委員長講評】
中央には妙高山,黒姫山,新潟焼山などの火山,その奧には糸魚川の低地が境するフォッサマグナの糸静線,遙か遠方には黒部扇状地が見えます.作者は写真狙いでこの座席を予約していたのでしょうか.翼や窓枠の配置は飛行機に乗っているよう気分にさせられます.冬の日本海側でこのような快晴に恵まれたのはラッキーでした.

【地質解説】
写真の奥から手前に,富山平野の黒部川扇状地(写真左奥),飛騨山脈(北アルプス)からフォッサ・マグナ北部に位置する長野県野尻湖(写真左下)までが写っています.フォッサ・マグナは,日本列島にそって伸びる古い地質構造を断ち切り,二つに大きくわける裂け目で,新しい地層が厚く溜まっている場所です.この裂け目は,かつてユーラシア大陸にくっついていた日本列島が,日本海の形成によって大陸から分かれる時に造られた大きな溝です.フォッサ・マグナの西縁は,糸魚川−静岡構造線とよばれる断層で,この写真の右上の平地に位置する糸魚川から左やや下の方向に伸びる谷沿いにほぼ沿って,その断層が通っています.糸魚川−静構造線の手前側がフォッサ・マグナで,かつての海に堆積した地層が,その後の地殻変動で2400mほどの高さまで隆起して山となっています.その地層がつくる山の上に,新潟焼山や黒姫山,妙高山(野尻湖の奥の山々)などの火山が活動しています.(及川輝樹:産総研地質調査総合センター)


 

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