大学生・大学院生賞:5億5000万年前のデルタ
写真:福山康太(福岡県)
撮影場所:マレーシア ランカウイ島 Sandy Skulls Beach
【撮影者より】
「東南アジア初のジオパーク」そのフレーズに惹かれ,バックパックでマレーシアのランカウイ島に行ってきました.海岸を少し歩くと色鮮やかな露頭が現れ,平行葉理や斜交葉理といった堆積構造が卓越した砂岩を観察できました.5.5億年前という古さに驚きです.ここランカウイ島では島全体がジオパークとして観光地化されています.貴重な地質を観光資源としている成功例として,参考にすべき魅力ある場所だと思います.
【審査委員長講評】
どこの地層だろうと解説を読んだらマレーシア,ランカウイ島の5.5億年前の地層でした.ホームページを見ると堅苦しさはなく,地層とジャングルが広がるジオフォレストパークで,行きたくなるようなリゾートでした.1枚の写真から思いが広がります.
【地質解説】
アジア大陸は中生代から新生代にかけて,微小大陸塊(マイクロ大陸)が集合衝突してできたといわれています.この写真が撮影されたLangkawi(ランカウィ島)は,東南アジアを形成する微小大陸塊のひとつSHAN-THAIに属し,Cimmeria(キンメリア大陸)の一部でした.SHAN-THAIはカンブリア紀にはゴンドワナ大陸の周辺に位置し,南緯30°前後にあったと推定されています.本露頭の砂岩泥岩互層は,デルタ堆積物とみなされています.(参考文献;Charusiri et al. 2002, J. Geol. Soc. Thailand, 1, 1-20)(久田健一郎:NPO法人地学オリンピック日本委員会)