日本地質学会会長賞:白亜紀末の断崖
写真:佐藤峰南(福岡県・日本地質学会会員)
撮影場所:デンマーク Stevns Klint(シェラン島)
【撮影者より・地質解説】
海岸線に15 kmに渡り続く高さ約40 mの断崖は,下部が軟らかい白亜紀末(マーストリヒチアン)のチョーク,上部が硬い古第三紀初期(ダニアン)の石灰岩から成り,波の侵食によって張り出した形状が作られました.白色の崖と対照的な黒色の浜辺は,波打ち際で円磨された珪質ノジュールによって埋め尽くされており,崖をよく見ると炭酸塩の層理面と調和的なノジュール層が観察されます.(佐藤峰南:九州大学)
【審査委員長講評】
K/Pg(白亜紀−古第三紀)境界はイタリアのグッピオ,スペインのズマヤなど世界各地にありますが,アクセスがよく,連続的に見られる点ではこの露頭が一番でしょう.日本では1987年,NHKの『地球大紀行』で紹介されてから有名になりました.境界層は影の中にほぼ水平に延びています.