ジオパーク賞:エメラルドブルーの波蝕甌穴群
写真:伊藤裕也(福井県)
撮影場所:佐渡ヶ島 平根崎
【撮影者より】
夕暮れの海岸.岩場に空いた丸い穴々の不思議さと,エメラルドブルーの色が印象的でした.
【審査委員長講評】
甌穴(ポットホール)は川の流れや波の力によって小石がぐるぐると回ることによって侵食されてできる穴です.佐渡島平根崎は70以上も波蝕甌穴がある日本最大の分布地で,天然記念物となっています.作者はその1つに注目し,中景に白波,遠方の夕陽を配置して印象的な作品となりました.
【地質解説】
波食甌穴とは,波打ち際の地層にできたくぼみに硬い石が入り込み,波の営力によって石が回転,鉛直方向に削られた円筒状の穴のことを言います.平根崎の地層は,1700万年前の日本海誕生時の砂岩,礫岩で構成されており,地層上で回転する礫が多量に供給できたことと,削られやすい砂岩層が広く分布していたことから,約200個もの甌穴が形成されました.日本国内でもその数は圧倒的であり,国の天然記念物に指定されています.(相田満久:佐渡ジオパーク 推進指導員)