第16回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

最優秀賞:時を閉じ込めた青の世界

写真:ジェシー(東京都)
撮影場所:アイスランド南東部、ヴァトナヨークトル国立公園



 

 

【撮影者より】
悠久の時を経て創り出された氷河の洞窟.その透明度の高い氷には,数千年もの時が閉じ込められています.氷の壁を見上げる探検者の姿は,人間の小ささと自然の偉大さを対比し,冬の限られた瞬間にしか立ち入ることのできないこの奇跡の空間を象徴しています.氷河は常に変化し続けており,今見ているこの景色もやがて消えてしまう運命にあります.だからこそ,この一瞬を切り取ることに意味があるのです.

【審査委員長講評】
ヴァトナ氷河はアイスランド最大の氷河で,谷埋めの氷河ではなく,氷床と呼ばれる規模の大きな氷河です.氷河の底にできたトンネルを探険するツアーに参加したときの作品だと思いますが,超広角レンズでとらえたトンネル上部の雪氷の質感,ガイドの位置や視線が優れており,自分が案内されているような気分になります.


【地質解説】
ヴァトナヨークトル(Vatnajökull)は,アイスランド最大の氷河(jökull)で,氷河の下には,西部で南北に中央海嶺の一部である東部火山帯が走るほか,東部でもいくつかの火山体が認識されています.この氷河の下の火山はときどき噴火を起こし,1994年には氷河を溶かして,最大流量5×104 m3/sの大洪水(jökulhlaup)が発生しました.最新の噴火は,2011年です.写真のような氷河底へは,複数のガイドツアーが氷河の南にある町を起点に催行されているようです.(萬年一剛:神奈川県温泉地学研究所)

 

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