第15回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

入選:大地の目覚め

写真:村上 真(岩手県)
撮影場所:岩手県 八幡平市 焼走り溶岩流



 

 

【撮影者より】
この写真は岩手県八幡平市にある「焼走り
(やけはしり)溶岩流」で撮影しました.このエリアは1732年に岩手山が噴火した時の形成されたもので黒く固まった熔岩があたり一面に広がっている光景が特徴的です.中でも本格的な冬が訪れる直前の11月,放射冷却現象が特に強く見られる日にはこうして溶岩の表面にびっしりと霜が降りて普段と違った姿を見せてくれます.

【審査委員長講評】
焼走り
溶岩は約300年前の噴火で噴出したアア溶岩ですが,表面には植生も少なく,噴火当時の様子が残された場所です.日の出の写真なので普段ならば逆光で面白みのない写真になってしまいがちですが,アアクリンカーに霜がついて立体的な奥行きのある作品となっています.正面の松にかかる太陽,左奧の山など構図的には申し分ありません.

【地質解説】
焼走り溶岩は,1732年の噴火で岩手山の中腹に形成された火口列から流出しました.SiO2が約53%の玄武岩質安山岩で,流下距離は約3 km,末端付近での溶岩流の幅は約1 km程度と,必ずしも大きい溶岩流とはいえませんが,噴火から300年を経ても植生がほとんどなく,噴火直後の様子を今にとどめています.写真に見えるように,この溶岩流の表面はゴツゴツとした岩塊,クリンカで覆われます.表面がクリンカで覆われる形態の溶岩をアア溶岩と呼びます.(萬年一剛:神奈川県温泉地学研究所)

 

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