第9回惑星地球フォトコンテスト入選作品

 

日本地質学会創立125周年記念賞:月に浮かぶ大瀬崎南火道
写真:露木孝範(静岡県)
撮影場所:静岡県沼津市 大瀬崎南火道



【撮影者より】
週末はダイバーで賑わう大瀬崎.外海のダイビングポイントから少し南に歩いた場所に伊豆半島ジオパークを構成する地形があると知り,月夜に撮影に向かいました.現地では,ヤリイカ狙いの釣り船が,岸近くを強烈な明かりを灯して遊弋していて,ダイナミックな溶岩地形の前で強烈な非日常感を味わいながら撮影を行いました.


【審査委員長講評】
伊豆半島の北西端には大瀬崎があり,その南500mに大瀬崎火道があります.縦位置のこの作品では右半分に大きく大瀬崎火道の溶岩を,その向こうには愛鷹山と富士山,そして沼津市の街明かりを配置しています.大瀬崎南火道に月光が当たる月齢や時間をよく計算された上で撮影されたのでしょう.足場の悪い海岸を夜に歩いて行かなければなりませんが,勝手を知った地元の人ならでは作品です.

【地質的背景】
伊豆半島の北西部は100万〜50万年頃に活動した達磨火山が占めていますが,その北西の海側にほぼ同時代に活動した井田火山と大瀬崎火山があります.大瀬崎火山の南火道は,ハワイのキラウエア・イキ火口1959年の噴火から類推されたもので,噴火当時のようすが良く保存されています.火口からの10数回の溶岩やスパッターの噴き出しによって数か月間かけてできたと推定されています.(審査委員長 白尾元理)

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