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┴┬┴┬ 【geo-Flash】 日本地質学会メールマガジン ┬┴┬┴┬┴┬┴
┬┴┬┴┬┴┬ No.356  2016/9/20┬┴┬┴ <*)++<< ┴┬┴┬┴
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★★目次 ★★
【1】東京・桜上水大会 終了しました!
【2】惑星地球フォトコンテスト:応募受付中
【3】イタリアのラクイラ地震裁判その後
【4】「The Geology of Japan」正誤表
【5】支部情報
【6】その他のお知らせ
【7】公募情報・各賞助成情報等

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【1】東京・桜上水大会 終了しました!
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今年は1,000名以上の方々にご参加いただき,盛会のうち東京・桜上水大会は終
了いたしました.大会の報告記事は,ニュース誌11月号に掲載予定です.
大会様子(写真)はこちらからご覧いただけます.
http://www.geosociety.jp/faq/content0669.html
http://www.geosociety.jp/faq/content0670.html
http://www.geosociety.jp/faq/content0671.html

[忘れもが1点届いています.お心当たりの方は事務局まで]
・グレーの図面ケース(筒形)

来年は,愛媛・松山でお会いしましょう!!
◆日本地質学会第124年学術大会(松山大会)
2017年9月16日(土)〜18日(月)
会場:愛媛大学理学部ほか(松山市文京)

(注)松山市内では同期間中に医学系など他学会の開催が予定されています.
宿泊予約が混み合うことが予想されますので,早めの宿泊予約をお勧め致しま
す(近年学会を通じての宿泊手配は行っていません.各自でお手配をお願いし
ます).

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【2】惑星地球フォトコンテスト:応募受付中
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第8回惑星地球フォトコンテストの応募受付中です!今回より野外に出かける
機会の多い「夏」に応募期間を設定することになりました.
皆さんの力作をお待ちしています!

応募作品受付締切:2017年1月10日(火)
 (締切日の訂正)
 (誤)2016年12月31日→(正)2017年1月10日

詳しくは,http://photo.geosociety.jp/
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【3】イタリアのラクイラ地震裁判その後
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石渡 明・ウォリス サイモン・渡部芳夫

2012年11月2日,当時の日本地質学会会長(石渡),副会長(ウォリス・渡部),
部会長・理事一同の名で,イタリアのラクイラ地震裁判において地球科学者に
有罪判決が出たことについて,同学会としての「憂慮」をホームページに和文
と英文で表明した(URLは下記).この裁判について,その後の経過を調べてみ
たので,簡単に報告する.

【地震の概要】
2009年4月6日にイタリア中部のラクイラ(L'Aquila)の街をM6.3の地震が襲い,
多くの家屋が倒壊して308人が死亡し約1500人が負傷した.それまでの数カ月間,
この地域では群発地震が続いており,地元の研究者がラドンの観測から大地震
が起こる可能性を公表したので,人々は不安に感じ,屋外に避難していた住民
も多かった.本震6日前の3月31日,政府の防災当局の責任者と地震学者らが現
地に集まって検討会を行い,メディアを通じて「大きな地震が起きる心配はな
い.家の中で寝ても安全だ.」という趣旨の発表を行った.これを聞いて,自
宅に戻って生活を再開した住民も多かったが,その6日後に大地震が起きて多く
の犠牲者が出た.

【裁判の開始】
地震前の現地検討会に出席して「安全会見」を行った防災当局の責任者と地震
学者ら計7人を,この地震による犠牲者の遺族らが地元の裁判所に殺人罪で告訴
し,裁判が始まった.2012年10月に地元の裁判所は7人の被告全員に6年の懲役
と巨額の罰金を課す有罪判決を言い渡した.判決によると,被告らは「地震予
知に失敗した」ことにではなく,「地震の危険に対して『表面的で大雑把で根
拠のない』(superficial, approximate (or ineffective)and generic)評価を
行った」ことに対して有罪とされた(英訳語は記事によって異なる).本学会
はこの判決に対して同年11月2日に憂慮を表明した.

日本地質学会声明「ラクイラ地震裁判における科学者への実刑判決を憂慮する」
http://www.geosociety.jp/uploads/fckeditor//pubcome/20121102L%27Aquila_Concern_jp.pdf
http://www.geosociety.jp/uploads/fckeditor//pubcome/20121102L%27Aquila_Concern_en.pdf

【上告審】
被告らは判決を不服として上告し,2014年11月10日に上告審の裁判官らは,被
告のうち地震学者3人,火山学者1人,地震技術者2人の計6人に対して無罪を言
い渡し,防災当局の責任者1人に対しては,執行猶予のついた懲役2年の有罪判
決を言い渡した.原告側はこれを不服として最高裁に上告した.
防災当局の現地責任者だったDe Bernardinis氏の有罪の主な理由は,彼が現地
検討会の前に独自の判断で「大地震の心配はなく安全だ」という趣旨のコメン
トをマスコミに流したことらしい(検討会の結論は,群発地震によって大地震
の可能性が高くなったとも低くなったとも言えないという「中立的」なものだっ
たと上告審は判断し,地震学者らを無罪にしたようだ).

2014年11月18日の米国地球物理連合EOSの記事
(地震学者ら6人の無罪判決について)
https://eos.org/articles/six-laquila-seven-acquitted-appeal

2014年10月30日のEOSの「「ラクイラの7人」の上告審」という記事(これは判
決が出る前の執筆だが,この記事には7人の氏名・所属・専門を示す表がある.)
http://sites.agu.org/wp-content/uploads/2014/10/LAquila_7.pdf


【最高裁の判決】
地元での裁判開始から約5年を経て,2015年11月20日,最高裁は上告を棄却し,
前年の下級審の判決(6人無罪,1人有罪)が確定した.有罪になったのは地震
発生当時のイタリア政府の公衆保安局の課長で,現地で検討会や記者会見を取
り仕切ったBernardo De Bernardinis氏であるが,彼の上司で局長だったGuido
Bertolaso氏の責任を問う別の裁判はまだ続いている.

2015年11月20日のScience誌の記事(最高裁判決)
(DOI:10.1126/science.aad7473)
http://www.sciencemag.org/news/2015/11/italy-s-supreme-court-clears-l-aquila-earthquake-scientists-good

以上のように,ラクイラで続いていた地震活動の今後の見通しについて,専門
家として意見を求められた学者に対して,初審で有罪判決が下されたことにつ
いて,我々が表明した「憂慮」は,その後の上級審の妥当な判決によって解消
されたようである.しかし,今回のラクイラ地震裁判によって,自然災害につ
いて研究者と政府機関が地域住民や一般社会に対してどのタイミングでどのよ
うな情報を発信すべきかに関する問題点が浮き彫りになった.地域住民や一般
社会の安全確保に我々の研究成果がどう生かせるか,時と場合に応じて伝える
べき情報は何か,それをいつどのように伝えるか,住民の安全を第一によく考
え,慎重に判断しながら,我々地球科学分野の研究者が防災・減災活動に参画
していかなければならない事を,今回の事件によって再認識させられたように
思う.

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【4】「The Geology of Japan」正誤表
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日本地質学会と学術交流協定を締結しているロンドン地質学会の出版物であります
「The Geology of Japan」について,編著者より訂正のご連絡がありましたので,
お知らせします.

詳しくは,http://www.geosociety.jp/news/n126.html

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【5】支部情報
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[北海道支部]
■秋巡検「三笠ジオパークと蝦夷層群の地質を学ぶ」
10月22日(土)〜23日(日)1泊2日(1日だけの参加も可)
参加費:会員5,000円(2日間参加の場合)
定員:18名
申込締切:10月12日(水)
詳しくは,http://www.geosociety.jp/outline/content0023.html

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【6】その他のお知らせ
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■地震本部ニュース平成28年度夏号発行
http://www.jishin.go.jp/herpnews/

■NUMO セーフティケースに関する外部専門家ワークショップ
(1)大阪会場(定員:100 名)
9月21日(水)9:30〜17:30
会場:大阪科学技術センタービル4階401号室
(2)東京会場(定員:120 名)
9月23日(金)9:30〜17:30
会場:三田NN ビル地下1階三田NN ホール
参加費:無料 参加申込締切:9月16日(金)
詳しくは,
http://www.geosociety.jp/uploads/fckeditor/geoFlash_img/no351_NUMO_geoflash160906.pdf

■第190回地質汚染イブニング・セミナー
場所:北とぴあ901会議室
9月30日(金)18:30〜20:30
講師:伊藤和明(元NHK解説委員)
テーマ:災害取材体験からの東日本大震災と熊本地震
http://www.npo-geopol.or.jp/event.htm

■(後)第7回日本ジオパーク全国大会(伊豆半島大会)
10月10 日(月)〜12日(水)
場所:静岡県沼津市・プラザ ヴェルテほか
http://7th-jgn-izu-peninsula.jimdo.com/

■(後)藤原ナチュラルヒストリー振興財団神戸シンポジウム
ナチュラルヒストリー:これまでの貢献と今後へ期待
10月22 日(土) 13:30〜17:00
場所:兵庫県民会館けんみんホール
共催 兵庫県立人と自然の博物館
http://fujiwara-nh.or.jp/

■東北大学多元物質科学研究所:イノベーション・エクスチェンジ2016
10月27日(木)13:00〜17:30
場所:東北大学片平さくらホール
入場無料
参加申込締切:10月14日(金)
http://www2.tagen.tohoku.ac.jp/general/event/Innovation_Exchange/2016/

■2016年度地球惑星科学学生と若手の会
学部生・大学院生・若手研究者・地球惑星科学に興味を持つ方であればどなた
でもご参加頂けます!
11月12日(土)〜13日(日)
場所:東京大学 本郷キャンパス (東京都文京区)
内容:講演,参加者同士の研究交流,グループディスカッション,懇親会など
申込締切:10月28日(金)
https://sites.google.com/site/nyswakate/2016

■第6回学生のヒマラヤ野外実習ツアー(参加者募集中)(日本地質学会推薦)
2017年3月4日〜18日(暫定日程)
コース:中西部ネパールヒマラヤの全断面で,ポカラを通る南北のルート
参加申込締切:11月30日(水)
http://www.geocities.jp/gondwanainst/geotours/Studentfieldex_index.htm

その他のイベント情報は,学会行事カレンダーもご参照下さい.
http://www.geosociety.jp/outline/content0151.html#now

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【7】公募情報・各賞助成情報等
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■東京大学地震研究所平成29年度客員教員公募(10/31)
■都留文科大学学校教育学科(仮称)の専任教員(地学)募集(10/31)
■京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻教授公募(10/31)
■静岡大学理学部地球科学科教員(助教)公募(11/30)
■名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻(准教授)(10/31)

■2017年度山田科学振興財団研究援助候補推薦依頼(17/2/14)
■平成29年東京大学地震研究所共同利用(10/31)

詳細およびその他の公募情報は,
http://www.geosociety.jp/outline/content0016.html

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報告記事やニュース誌表紙写真,マンガ原稿募集中です.
geo-Flashは,月2回(第1・3火曜日)配信予定です.原稿は配信前週金曜日
までに事務局(geo-flash@geosociety.jp)へお送りください.