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┴┬┴┬ 【geo-Flash】 日本地質学会メールマガジン ┬┴┬┴┬┴┬┴
┬┴┬┴┬┴┬ No.144 2011/8/2 ┬┴┬┴ <*)++<< ┴┬┴┬┴
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★★目次 ★★
【1】水戸大会:間もなく参加登録締切!
【2】見学旅行へ行こう! 見学旅行申込も締切間近!
【3】解説:地質年代表における年代数値―その意味すること
【4】地質図の紹介:「アジア地質図 1:5,000,000」寺岡易司・奥村公男著
【5】会員名簿データを整理中です。住所変更はお早めに!
【6】Island Arc 2010年最多ダウンロード論文賞が決定
【7】「地質構造百選」の候補地・写真の投稿、ありがとうございました。
【8】その他のお知らせ
【9】公募情報・各賞情報
【10】地質マンガ 「ルーツ」

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【1】水戸大会:間もなく参加登録締切!
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水戸大会の参加登録は、今週末【8月5日(金)18時】までです。
まだ申し込んでない方は、すぐに登録ページへ↓
http://www.geosociety.jp/mito/content0026.html

水戸大会関連の締切一覧:
■参加登録:申込締切:オンライン 【8/5(金)18時】※FAX/郵送は締切りました
■見学旅行:申込締切:オンライン 【8/5(金)18時】
http://www.geosociety.jp/mito/content0026.html
■託児室・学童ルーム 【8/12(金)】
http://www.geosociety.jp/mito/content0036.html
■「東日本大震災関連ポスター展示」の募集 締切延長!【8/22(月)17時】
http://www.geosociety.jp/mito/content0046.html
■「市民向けポスター展示」の募集 締切延長!【8/22(月)17時】
http://www.geosociety.jp/mito/content0044.html

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【2】見学旅行へ行こう! 見学旅行申込も締切間近!(8/5締切)
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見学旅行のお申し込みも締切間近です。
魅力的なコースをたくさん用意しています。
まだ定員まで余裕があります。
多くの皆様の参加をお待ちしています。

既に大会参加登録された方で見学旅行のお申し込みをされていない方、
オンラインで追加で見学旅行参加申込ができます。

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コース名
A班:日本最古の地層-日立のカンブリア系変成古生層(9/12-13)
B班:筑波山周辺の深成岩・変成岩(9/12日帰り)
C班:磐梯・吾妻・安達太良−活火山ランクBの三火山(9/12-13)
D班:常磐地域の白亜系〜新第三系と前弧盆堆積作用(9/12-13)
E班:棚倉断層のテクトニクスと火山活動・堆積作用(9/12-13)
F班:栃木の新第三系−荒川層群中部の層序と化石および大谷地域の応用地質(9/12日帰り)
G班:常陸台地の第四系下総層群の層序と堆積システムの時空変化(9/12日帰り)
H班:鬼怒川低地帯の第四紀テフラ層序−火山噴火史と平野の形成史(9/12-13)
I班:伊豆衝突帯の最前線−関東のテクトニクス(9/12-13)
J班:地層を見る・はぎ取る・作る(9/10)
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見学旅行:各コースの魅力と見どころはこちらから↓
http://www.geosociety.jp/mito/content0030.html

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【3】解説:地質年代表における年代数値―その意味すること
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兼岡一郎(前学術会議地質年代小委員会委員長、
元IUGS国際地質年代小委員会副委員長)

IUGS (国際地質学連合)では、ICS(国際層序委員会 )から提案されていたInternational Stratigraphic Chart(地質系統・地質年代表)におけるQuaternary(第四紀)の始まりの境界を、GelasianとPiacenzianとすることを
2009年6月に承認した。その境界の年代数値としては2.588Maとされており、以前にQuaternary境界として割り当てられていたCalabrian底部の年代数値よりは約78万年古くなっている。わが国でもこの経緯を踏まえて、地質年代関連分野の各学協会から推薦された委員によって構成された委員会で、国際規約に沿ったQuaternaryの定義などを受け入れることを決め、その件に関して周知徹底が計られた(奥村, 2010など)。しかし、その過程において、地質年代表における年代数値の意味の詳細についての理解が、わが国の研究者間で必ずしも同じではない様子が見受けられた。さらにそうしたことが要因となって生じたと考えられる事例を、私自身の周囲でも経験することになった。そのため、10年前まではICSの中の小委員会のひとつとして存在していたSOG(国際地質年代小委員会)に在籍したことのある立場から、ISCに付された年代数値を利用する人たちが、それらについて的確な取り扱いをされるようにその意味を説明しておきたい。

続きを読む、、、
http://www.geosociety.jp/faq/content0322.html

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【4】地質図の紹介:「アジア地質図 1:5,000,000」寺岡易司・奥村公男著
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これは,同じ著者らによる1:3,000,000の東アジア地質図(2003)及び中央アジア地質図(2007)の領域を南北と西に拡張し,地質の編集をやり直して,手頃な大きさ(東西2枚を貼り合わせると165 x 114 cm)で一覧できるようにしたものである.東は日本,北はサハリンとバイカル湖,西はカスピ海とオマーン,南はスリランカとインドシナまでが含まれる.主な都市や河川,湖などが詳しく記入されており,通常の地図との比較が容易である.地名,凡例,文献などはすべて英語である.海底地形も1000 mごとの等深線で色分けされており,大陸棚や深海の分布がよくわかる.ただし,山や山脈,盆地や砂漠,島や半島などの名前は示されていない.この図を見ながらいろいろ考えたり議論したりする立場からは,少なくとも盆地の名称が記されていると便利である.
地質の凡例は年代を色,岩質を模様で表示しており,色の違いで地層の年代分布がよくわかるように工夫されている.貫入岩類(主に花崗岩)は赤,茶,紫などの濃色で示されているが,やはり年代によって色分けされている.年代区分の最小単位は紀(系)であり,堆積岩は陸成層・海成層の別,火山岩は珪長質・中性・苦鉄質の区分が模様で示されている.凡例にはメインの年代区分の横に6列の色分けされた柱があるが,これらは特に地理的区分や岩相区分とは関係なく,いくつかの紀をまとめて示す場合の色分けや記号を示す.これらの他に,付加体,オフィオライト,岩塩ストックが別の記号で示されている.遠くから見て最も目立つオフィオライトはオマーンのものであるが,各造山帯の主な岩体がよく描かれている.岩塩ストックは地質図西端のイランやカスピ海北側に点々と見られるが,付加体は地質図東端の日本とその周辺のみに示されている.この地質図の東西両端に全く異なる地史を示すこれらの特徴が示されているのは面白い.ただ,最近はロシア・モンゴル国境付近の原生代の地層が付加体であるとする論文も出ており(Kuzmichev et al., 2007),今後はアジア中央部でも原生代や古生代の付加体が広く分布することになるかもしれない.変成岩は堆積岩と同じ色で示されており,低〜中圧型(角閃岩相以上)と高圧型を模様で区別しているが,変成岩の分布はわかりにくい.中国東部やカザフスタン,キルギスタンなどで超高圧変成岩が発見され,この地域の大陸衝突テクトニクスを考える上で重要視されているので,高圧・超高圧変成岩をもう少し強調して表示する方がよいと思う.
アジア大陸主部の地質を概観してまず目に飛び込んでくるのは,地質図の中央を東西にうねって続くヒマラヤ・チベットの幅広い造山帯であり,それは東方でさらに幅を増して中国南部からインドシナまで拡がるように見え,その流れの中に四川とコラート(インドシナ中央部)のジュラ・白亜紀堆積盆地が中州のように存在している.また,この地質図の北半部には,カザフスタンからモンゴルを経てオホーツク海北部に至る中央アジア造山帯の東西に伸びる地層の連なりがよく描かれている.一方,この地質図の中央北端部にはバイカル湖に接するアンガラ地塊(シベリア剛塊の南端部)とそれを覆うカンブリア・オルドビス系がまとまった領域を占め,地質図の南西部にはインド地塊の広大な太古代の地層とそれを覆うデカン巨大火成岩区(LIP)の白亜紀玄武岩が大きくまとまった領域を占めている.この地質図は,アジア大陸の主体部分が古生代以後の変動帯からなっていることを,南北両端のアンガラ地塊・インド地塊との対比によってよく示している.中朝・揚子地塊などの太古界・原生界や四川盆地などの中生代以後の堆積盆は,この東西方向にのびる幅5000 km(バイカル湖からインドシナまで)の大造山帯に浮かぶ中州のように見える.インド地塊やアンガラ地塊に比べると,揚子(南中国)地塊や中朝地塊の地層の分布パターンは細かく断片化されていて,周囲の変動帯と大差ないように見える.細かく見ると,中朝地塊には太古代の地層が多いが,揚子地塊は古くても中期原生代であるという違いもよくわかる.
ところで,この地質図の地域には,上述のデカンLIPの他に蛾眉山(Emeishan)LIPがある.よく目をこらして見れば,四川盆地の南側にペルム紀の玄武岩が広く分布しているのがわかるが,遠くから見てここがLIPであることはよくわからない.その目で探すと,バイカル湖の南方にもかなり大きなペルム紀と三畳紀の玄武岩分布域があることがわかる.最近,シベリアLIPの活動(ペルム紀後期)が北東方に延びていることが報告され(Kuzmichev and Pease, 2007),さらにベーリング海峡近くまで延びる可能性があるが(筆者らの調査),南方にも延びているのかもしれない.
日本は主にジュラ・白亜紀の付加体と新生代の火山岩・堆積岩からなっているが,同じような地質の場所はアジア大陸にはほとんどなく,ロシアのサハリンと沿海州そして台湾だけが日本と類似している点が目を引く.ただ,インドの両側のパキスタンとミャンマーにはオフィオライトを伴うジュラ・白亜紀〜新生代の海成層が広大に分布しており,これらは日本と同時代の付加体の可能性があると思う.また,前述のアジア中央部の原生界を含め,「日本風」の付加体が大陸のあらゆる年代の地層に広く分布している可能性がある.
以上のように,これは日本と大陸の地質のつながりを考える資料としてこの上ない,手頃な大きさと価格の優れた地質図であり,地質家の研究室の壁に飾るのに好適な美しい地質図である.そして,このように気宇壮大な地質図は,研究や仕事上の世界戦略を形成するための基礎となり,学生教育上も有益である.会員諸兄諸姉に御一覧をお勧めする.10年後のアジア地質図がどうなっているか,楽しみである.
なお,本地質図は地学情報サービス株式会社(029-856-0561)または産業技術総合研究所地質標本館(029-861-3750)で購入できる.

石渡 明(東北大学東北アジア研究センター)

文献
Kuzmichev, A.B., Pease, V.L. 2007: Siberian trap magmatism on the New Siberian Islands: constraints for Arctic Mesozoic plate tectonic reconstruction. J. Geol. Soc. London, 164, 959-968.
Kuzmichev, A., Sklyarov, E., Postnikov, A., Bibikova, E. 2007: The Oka Belt (Southern Siberia and Northern Mongolia): A Neoproterozoic analog of the Japanese Shimanto Belt? Island Arc, 16, 224–242.

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【5】会員名簿データを整理中です。住所変更はお早めに!
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今年は会員名簿の発行年です(News誌6月号p.23-24参照)。
住所・所属など会員情報に変更のある方はできるだけ早めに、学会事務局
<main@geosociety.jp>にご連絡いただくか、学会HP会員のページから会員
情報の更新を行って下さい。
会員ページへのログインはこちら、、、(ログイン情報が分からない場合
は事務局にご連絡ください)
https://www.geosociety.jp/user.php

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【6】Island Arc 2010年最多ダウンロード論文賞が決定
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Island Arc 2010年最多ダウンロード論文賞が以下の論文に決定しました。

Sugawara,D., Minoura, K., Nemoto, N., Tsukawaki, S., Goto, K.
and Imamura, F. (2009) Foraminiferal evidence of submarine sediment
transport and deposition by backwash during the 2004 Indian Ocean
tsunami. Island Arc, 18, 513-525

最多ダウンロード賞は、過去5年間に最もダウンロード数の多かった論文に
対してWiley-Blackwell社から与えられる賞です。

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【7】「地質構造百選」の候補地・写真の投稿、ありがとうございました。
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7月末日をもちまして、「日本の地質構造百選」の写真および候補地の募集
を締め切らせていただきました。おかげさまで当初の目標である100件を超え
る応募をいただきました。選定の結果は地質学会水戸大会にて発表する予定
です。
構造地質部会「日本の地質構造百選」編集委員会

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【8】その他のお知らせ
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■第3回ジオ多様性フォーラム
地質、地形、測地、地震、水、文明などからみたジオ多様性
2011年10月7日(金)〜8日(土)
場所:JAMSTEC東京事務所(千代田区内幸町2-2-2-23F)
問い合わせ先:矢島道子 pxi02070@nifty.com

■香取−成田−潮来国際宣言「2011年東日本太平洋沖地震にかかわる国際
地質災害防止宣言」
国際地質科学連合の人工地層と地質汚染ワーキンググループが2011年6月18日
に開催した人工地層と地質汚染に関わる国際ワークショップにおいて、
香取−成田−潮来国際宣言「2011年東日本太平洋沖地震にかかわる国際
地質災害防止宣言」がなされました。

宣言の内容はこちらから、、、
http://www.geosociety.jp/uploads/fckeditor/geoFlash_img/no144_IUGS-GEM20110720.pdf

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【9】公募情報・各賞情報
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■茨城大学広域水圏環境科学教育研究センター(助教)(10/31)
■第14回大学女性協会守田科学研究奨励賞受賞候補者募集(11/30)

詳細およびその他の公募情報は、
http://www.geosociety.jp/outline/content0016.html

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【10】地質マンガ 「ルーツ」
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ルーツ
(原案:坂口有人 マンガ:key)
http://www.geosociety.jp/faq/content0323.html

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マンガの原作募集中!もうストックがありません.テキストで原案を投稿下
さいますとマンガ化いたします.「マンガ+解説」で研究紹介にもご活用下さい.

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夏季特別スケジュールのため、次号の配信は8月23日(火)とさせて頂きます。

報告記事やニュース誌表紙写真、マンガ原稿募集中です。
geo-Flashは、月2回(第1・3火曜日)配信予定です。原稿は配信前週金曜日
までに事務局(geo-flash@geosociety.jp)へお送りください。