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┴┬┴┬ 【geo-Flash】 日本地質学会メールマガジン ┬┴┬┴┬┴┬┴
┬┴┬┴┬┴┬ No.057 2009/03/03 ┴┬┴┬  <*)++<<  ┴┬┴┬┴┬
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★★目次 ★★
【1】杉山了三会員 文部科学大臣賞! 
【2】2009岡山大会関連情報
【3】関東支部からのご案内
【4】本の紹介「科学を志す人びとへ 不正を起こさないために」
【5】2009年度日本地球化学会年会のご案内(地質学会共催)
【6】雄大な北米ロッキーでのフィールドキャンプへ参加しよう
【7】日本学術会議主催講演会「学術分野における男女共同参画促進のために」
【8】3月の博物館イベント情報
【9】東レ科学技術賞および東レ科学技術研究助成候補者推薦
【10】富山大学極東地域研究センター教員公募
【11】地質マンガ「船酔いはつらいよ」
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【1】杉山了三会員 文部科学大臣賞! 
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東レ科学振興会主催 東レ理科教育賞(後援:文部科学省)に,本会会員の
杉山了三さん(盛岡一高)が、最高の理科教育賞文部科学大臣賞(1名)に
選ばれました。 題目は「地域を生かした生徒自作標本による岩石・鉱物学習」
です。
詳しくはhttp://www.toray.co.jp/tsf/rika/rik_020.html
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【2】2009岡山大会関連情報
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■4/28から、講演申込が開始となります。
講演申込期間:2009年4月28日(火)〜6月23日(火)17時締切
(郵送での申込の場合は、6月16日(火)必着)
講演申込,要旨送付とも同日の締切です。

昨年同様、J-STAGEの講演申込システムを利用の予定で、現在2009年版の申込画面
を準備中です。webサイトから24時間いつでもお申し込み頂けます。
講演を予定されているの方は、早めの準備をお願いいたします。
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【3】関東支部からご案内
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■地質見学会:茨城県平磯海岸
日時 2009年5月9日(土)9:30 JR常磐線勝田駅集合
費用 大人 3,000円程度
見学場所 茨城県平磯海岸(茨城県ひたちなか市)
募集人員 40名
案内人 茨城大学地質情報活用プロジェクトメンバー(茨城大学理学部学生)
および茨城大学理学部教員
申込締切:2009年4月10日(金)
http://kanto.geosociety.jp/

■第3回研究発表会「関東地方の地質」一般講演募集
日時:2009年6月6日(土)13:00〜17:00
会場:国立科学博物館 新宿分館
講演内容:関東地方の地質研究を歓迎しますが,地質学に関係する内容ならば全
て可.
申込資格:学会員(連名の場合はどなたか一人が学会員ならば可),ただし学生
および若手研究者・技術者(35歳未満)は学会員でなくとも可.
講演申込締切:2009年4月6日(月)
http://kanto.geosociety.jp/
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【4】本の紹介「科学を志す人びとへ 不正を起こさないために」
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科学倫理検討委員会編(執筆者:黒川 清,浅島 誠(代表),御園生 誠,松
本三和夫,笠木伸英,札野 順,佐藤 学,猿田享男,池内 了,北澤宏一,池
勝智恵美)

2007年10月20日発行.(株)化学同人.152 p. 1800円+税.ISBN978-4-7598-11
39-1

2005年10月に組織を刷新した日本学術会議は,2006年10月3日に声明「科学者の行動規範」を発表したが,これとは別の形で「科学者とはいかにあるべきか」を若者たちに伝えるために,学術会議の検討委員会での討議内容と化学同人の原案をもとに本書を作成したという.
本書の章立てと各章の執筆者は次のようになっている.序章 科学研究を担う人たちへ(黒川),第1章 科学とは何か(浅島),第2章 科学者の評価と不正(御園生),第3章 社会における科学の位置(松本),第4章 科学者の行動規範(笠木),第5章 不正を防止するために(札野),第6章 科学者の倫理と教育(佐藤),第7章 実例から学ぶ(猿田ほか),第8章 若い学生・研究者へ!困ったときのQ&A(池内・北澤・池勝ほか).

序章は談話調である.「データも見ず議論もしないで論文に名前をつけたがる教授などは,みっともないし,問題外である」.「捏造のプロセスを検証し,誰が悪いとか,『魔女狩り』のようなことをしても建設的ではない.もっと根っこの問題を研究者自身が自発的に改革していくことこそが求められている」.「学術雑誌を発行するのも(学会の)大事な活動であろうが・・・研究者を育てることこそが,最も大事な使命であろう」.「なぜか大学でも研究者は内向き,鎖国マインドである」.「日本は若手研究者の層が薄いし,独立していない・・・『力が足りない』,『実体験が少ない』,『修羅場をくぐっていない』,『ひ弱だ』と一般的に感じるのは筆者だけではあるまい」.

第1章以後は講義調になる.「科学者にとっては・・・名誉や富はあくまで付属物であり,重要なことは『科学的知識の体系にどのような新しい貢献をなしえたか』という点である」.「科学研究に対して正しい判断を行えるよう,科学者自らが自分の研究をよく理解し,他者にわかるように説明を行う必要がある」.「科学研究費を適切に使用するに当たっては,単に適切に使用したというだけでなく,その適切性を第三者に説明できるよう,証拠となる書類を作成し,保管する義務がある」(研究ノートの励行も強調している).「インパクトファクターや被引用回数での比較は,簡便で定量的ではあるが,その特徴を理解して利用しなければ正当な評価とはいえない」.


科学者の代表的な不正行為はFFP,つまり捏造(Fabrication),改ざん(Falsification),盗用(Plagiarism)である.不正行為の一覧表(p. 80)には,(1)データの捏造,(2)データの改ざん(矛盾データの恣意的削除),(3)研究成果やアイデアの盗用,論文の剽窃,(4)不適正なオーサーシップ(著者の構成と順番),(5)個人情報の不適切な扱い,プライバシーの侵害,(6)研究資金の不正使用,(7)論文の多重投稿,(8)研究成果の紹介や研究費申請における過大表現,(9)研究環境でのハラスメント,(10)研究資金提供者の圧力による研究方法や成果の変更,(11)利益相反(の不申告や利益誘導?)がリストアップされている.ただしこの表には,「はじめの3項目は,合理と実証に基づく科学を根底から揺るがす行為といえるが,一方その他の項目に関しては,前提なしに不正行為と判定することが困難な場合もある」という注が付いている.過去5年間に日本で発生した科学者の不正行為の種類と件数の表(p. 109)によると,論文の二重投稿(83件),研究の盗用・論文の剽窃(26),プライバシー侵害(14)が上位を占める.そしてFFPと「責任ある研究活動Responsible Conduct of Research」との間には「疑わしい行動Questionable Research Practice」があり,それらは虚偽記載Misrepresentation,不正確Inaccuracy,偏向Biasなどであると指摘されている.


誤りや誇張と不正との関係については,「いくら誠実に研究を行っても誤りを犯すことはあり・・・誤りそのものを不適切な行為とはいわない.ただし,誠実に研究を行ったうえでの誤りであるか否かは問われよう.また,誤りとわかった後の対応が誠実でなければ,不適切な行為として糾弾されることになる」,「マスメディアに発表するときに,誇張した表現(『世界初』など)や誤解を生みやすい表現(『実用化に道を開く』など)を多用することも好ましくない」と述べている.そして,「科学者の反省材料」として,誤った論文に端を発した常温核融合の研究ブーム(1989-1992年)における論文数の推移と常温核融合を肯定した論文の割合のグラフを提示している.


一方で,倫理や社会貢献を過剰に振り回す危険についても第3章で述べられている.「研究という営みのもつ性質を多面的に理解することなく,倫理によってすべてを律するのは,やや性急といえよう」.「『科学ヒューマニスト』と呼ばれる一群の科学者たちによって,1930年代のイギリスで草の根的に行われた「市民のための科学」運動は,第二次大戦の勃発と前後して戦時における科学動員へとつながっていったことが知られている」.日本でも戦前・戦中には科学技術動員を目的とした国民的な理科振興が高らかにうたわれた.また,科学研究費獲得競争の否定的側面について,「問題は,基礎研究を目標志向研究の基準で評価し,それによって一律に予算配分をしようとする点にある.さながら,一般道でレーシングカーを走らせて競争させるようなもので,やがて事故(不正)が起こることは目に見えている」と述べている.


不正防止に果たす学会の役割は大きい.「ピアレビュー(査読)は,同業者の利益を守るために部外者を排除する仕組みではない.研究最前線の知見を判断できる専門能力を備えた研究者同士の率直な相互批判によって,知の品質を保つための仕組みである」と述べ,韓国の黄寓錫(ファン・ウソク)教授のクローン牛疑惑事件を例に出しながら「科学研究の成果は,ピアレビューを経た論文というかたちで,学界の認知を得たうえで社会的な評価を得なければならない」,「科学が科学者の自立的な営みであるためには,社会の動向とは独立した自浄能力をもっている必要がある」と述べている.そして不正防止の実効的な方針として,「米国の研究公正局が90年代初頭に行った「規制強化」が失敗に終わった事実からも,『不正行為を取り締まる』という消極的かつ性悪説的な姿勢ではなく,『責任ある研究活動を奨励する環境をどのようにして整備するか』という前向きで性善説に基づく取り組みが必要」ということが強調されている.


本書は日本学術会議の「科学者の行動規範」の内容解説,NASAの「倫理プログラム」,日本医師会の「医の倫理綱領」などの資料も充実し,参考文献や解説がどのページにも欄外に付記されていて,読者に親切な構成になっている.特に有用なのは第8章の充実したQ&Aである.「予想外の実験データが出たときにはどう扱えばよいか」,「論文数を増やすために細切れに発表してもいいか」,「研究成果を2つの雑誌に出すとき,どうすれば二重投稿にならないか」,「ある先生から『私の論文が引用されていない』と抗議されたがどう対処すればよいか」,「教授から与えられたテーマで研究して論文にする段階になったが,著者構成や順番をどうすべきか」,「同僚の研究データに不自然な感じを持っているが,誰に相談すればよいか」,「新聞社から科学的なコメントを求められたがどう対応すればよいか」,「2つの商業雑誌から原稿を依頼されたが,同じ原稿を渡してもよいか」,「国の研究費で得た科学的成果で本を執筆し商業出版してよいか」などの現実的かつ深刻な問題に一応の解答が与えられている.


地質学会も学術会議の「行動規範」に先んじて2003年に「倫理綱領」を制定したが(会員名簿の冒頭に掲載),共同研究上のトラブルによる除名申請,著者と査読者の間のトラブルによる抗議沙汰,二重投稿,禁止区域での標本採集への社会的批判などが発生している.我々の倫理についてより実践的に考えるために,会員諸氏に是非本書の一読をお勧めする.関連して,米国ベル研究所の事件を扱った松村 秀「論文捏造」(中公新書ラクレ)も一読されたい.

(石渡 明)

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【5】2009年度日本地球化学会年会のご案内(地質学会共催)
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会期:2009年9月15日(火)〜17日(木)
会場:広島大学理学部
共催:日本地質学会ほか
参加費用 (予定)
予約申込:会員5000 (3000)円 会員外7000 (4000)円(括弧内学生)
当日受付:会員6000 (4000)円 会員外8000 (5000)円
懇親会費:予約5000 (3000)円 当日6000 (4000)円 
*共催学会会員は日本地球化学会会員と同等
関連イベント(予定):公開講座「放射線と宇宙」(9月13日)

問い合わせ:
広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻内
e-mail: GSJ2009@hiroshima-u.ac.jp
http://www.geochem.jp/index.html
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【6】雄大な北米ロッキーでのフィールドキャンプへ参加しよう
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Yellowstone Bighorn Research Association (YBRA)では毎年、主としてアメリ
カの学部学生を対象にしたフィールドキャンプをやっています(参加学生の男女
比は年によって違いますがほぼ1に近い)。これは大変伝統のあるフィールドト
レーニングで、長い間、プリンストン大学が担ってきました。その後1992〜2007
年はペンシルバニア大学、2008年以降はヒューストン大学が主管となって、毎夏2
回にわたって5週間ぶっ続けで行われます。千葉大学では修士1年の大学院生が90
年代の終わりからほぼ毎年1-2名参加しています。アメリカでは主として学部学生
対象ですが、語学の問題もあり、日本からの参加は大学院生となっていた方がよ
いと思われます。もちろん日本の大学から遠路来たとなると大いに歓迎されます
から躊躇する必要はありません。これまでの参加者は異口同音に、非常に勉強に
なるだけでなく、地球に関する世界観が変わり、しかも国境を越えた友情がひろ
がると語っています。下に案内のURLを載せておきますので、興味のある方は、是
非、ご参加ください。
http://www.trinity.edu/departments/geosciences/YBRAFieldCampBrochure2009.
pdf


締切は3月15日(日)ですので希望者は至急手続きをしてください。ご不明な
点がありましたら、千葉大学の伊藤谷生<tito@earth.s.chiba-u.ac.jp>までお問
い合わせください。
(千葉大学理学研究科 伊藤谷生)
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【7】日本学術会議主催講演会「学術分野における男女共同参画促進のために」
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日時:2009年3月2日(月)13:00-17:30
会場:日本学術会議 講堂
趣旨:日本学術会議では、学術分野における男女共同参画の現状と課題を明らか
にするため、国・公・私立大学を対象とした初めての大規模なアンケート調査を
平成19年に実施しました。この調査 の分析結果と学術分野における状況改善の
ために平成20年7月に公表した提言を基に、市民に対する意識啓発と具体的な活動
のための提案を行います。

プログラム(予定)【敬称略】
基調講演   1)猪口邦子(衆議院議員)/2)板東久美子(内閣府男女共同参画局長)
パネルディスカッションほか
参加費:無料 定員:300名
プログラム等詳細は、こちら
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/70-t-1.pdf
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【8】3月の博物館イベント情報
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まだ寒い日が続いていますが,少しずつ春が近づいているのが感じられるように
なってきました。博物館では、春を感じられる野外観察会も各地でスタートします。
詳しい日程はイベントカレンダーでご確認下さい。

博物館イベントカレンダーはこちら
http://www.geosociety.jp/name/content0038.html
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【9】平成21年度東レ科学技術賞および東レ科学技術研究助成候補者推薦
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■東レ科学技術賞
候補者の対象    貴学協会が関与する分野で,下記に該当するもの/学術上の
業績が顕著なもの/学術上重要な発見をしたもの/重要な発明をして,その効果が
大きいもの/技術上重要な問題を解決して,技術の進歩に大きく貢献したもの
推薦締切期日    2009年10月9日(金)弊会必着(学会締切:9/10必着)

■東レ科学技術研究助成
候補者の対象 貴学協会が関与する分野で国内の研究機関において自らのア
イディアで萌芽的基礎研究に従事しており,今後の研究の成果が科学技術の進歩,
発展に貢献するところが大きいと考えられる若手研究者(原則として推薦時45才
以下)
推薦締切期日    2009年10月9日(金)弊会必着(学会締切:9/10必着)

各推薦書用紙・詳細等は,ホームページから
http://www.toray.co.jp/tsf/index.html
学会推薦の件数には制限がありますので、お早めにお申し出下さい
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【10】富山大学極東地域研究センター教員公募
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募集職名及び人員:准教授または講師 1名
専門分野:北東アジアにおける環境変動に関わる分野(理系)
授業担当等:当センター以外の部局(理学部および大学院理工学教育部等)におい
て専門分野に関する授業及び教養科目を担当していただくことになります.
応募条件:博士課程を修了またはそれと同等の能力を有する者
採用年月日:2009年10月 1日
応募締切日:2009年6月30日(火)当日消印有効
詳しくは、
http://www.u-toyama.ac.jp/jp/employ/pdf/fes_20090630.pdf
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【11】地質マンガ 
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「船酔いはつらいよ」作:川村喜一郎 画:Key
http://www.geosociety.jp/faq/content0147.html

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年度末のシンポジウム等の報告を掲載しませんか?すぐに掲載できます(編集部)

geo-Flashは、月2回(第1・3火曜日)配信予定です。原稿は配信前週金曜日
までに事務局(geo-flash@geosociety.jp)へお送りください。
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