Vol.24  Issue 3  (September)


[Island Arc Award 2015]
Chemical characteristics of chromian spinel in plutonic rocks: Implications for deep magma processes and discrimination of tectonic setting. < Island Arc, 20, 125-137 (2011) >
Shoji Arai, Hidenobu Okamura, Kazuyuki Kadoshima, Chimav Tanaka, Kenji Suzuki and Satoko IshimaruReferences

[Pictorial Article]

Seamount subduction likely provoked prolific mass wasting on the slope in the central part of the East Sakhalin accretionary wedge, eastern Russia
Sergey Zyabrev


[Research Articles]

1.    Early to Middle Miocene rotational tectonics of the Ou Backbone Range, northeast Japan
Jun Hosoi, Makoto Okada, Tomohiro Gokan, Kazuo Amano and Andrew James Martin

 

東北日本奥羽脊梁山脈における前期〜中期中新世の回転テクトニクス
細井 淳・岡田 誠・後閑 友裕・天野 一男・Andrew James Martin


東北日本では中新世に反時計回りの回転運動が起こったことが知られているが、その詳細な時期やメカニズム,それに関連した具体的な堆積場の変遷についてはよくわかっていない.本研究は,詳細な層序,堆積場の変遷が解明されている岩手県西和賀町周辺を対象とし,古地磁気,岩石磁気学的研究を実施した.その結果,本地域は15Ma頃の短期間で,約45°反時計回りに回転したことが判明した.これを踏まえ,以下のように本地域のテクトニクスと堆積環境変遷との関係を考察した.1)16Ma以前,静穏な環境下で砂岩・泥岩が堆積.2)16〜14Ma頃,反時計回り運動とともに堆積場が急激に沈降し,連続的かつ爆発的な火山活動が起こった.3)14Ma頃,回転運動・火山活動は収束し,静穏な堆積環境に戻った.本結果は回転運動が堆積盆発達に影響を与えたことを示唆する.

Keywords: counterclockwise rotation, Green Tuff;Miocene;northeast Japan, Ou Backbone Ranges, paleomagnetism, paleostress;tectonics
 

2.Linkage of deep sea rapid acidification process and extinction of benthic foraminifera in the deep sea at the Paleocene/Eocene transition
Hodaka Kawahata, Ritsuo Nomura, Katsumi Matsumoto and Hiroshi Nishi

 

暁新世/始新世境界における深海底での海洋酸性化と底棲有孔虫の絶滅
川幡穂高,野村律夫,松本克美,西 弘嗣


ODP Site 1220で採取されたP/E境界(5,500万年前)の堆積物を地球化学的および古生物学的見地より高時間解像度で分析した.その結果,”睛契有孔虫の一部の残存より,海洋表層での生産と海底での溶解,∪亞ゼ祖貔戸孔虫の無産出から,膠着質の底生有孔虫のみが生存と結論した.ボックスモデルの計算より,当時の大気中の二酸化炭素濃度は280-410ppmと推定された.現在,大気中への二酸化炭素量放出速度はP/E境界の30倍に相当し,今世紀末に南極海底層水がアラレ石に不飽和となるので,深海底の石灰質底生有孔虫はP/E境界同様,海洋酸性化により絶滅を含めて厳しい状況におかれると推測される.

Keywords: agglutinated foraminifera, benthic foraminifera, carbon cycle, ocean acidification, Ocean Drilling Program (ODP), The Paleocene/Eocene (P/E) transition
 

2.    Paleoenvironments of the evolving Pliocene to early Pleistocene foreland basin in northwestern Taiwan: An example from the Dahan River section
Tsun-You Pan, Andrew Tien-Shun Lin and Wen-Rong Chi

 

台湾北西部大漢渓セクションに認められる前縁堆積盆地での鮮新世−前期更新世の古環境変動

ルソン火成弧の中国大陸東縁部への衝上にともない,後期中新世以降,台湾山脈と前縁堆積盆地が衝上帯の西方で形成されている.この研究は,台湾北西部の大漢渓セクションでの堆積相解析と石灰質ナノ化石による生層序学的検討を行ったものである.本研究の成果は,鮮新世から前期更新世の北西台湾前縁堆積盆地における堆積環境の変遷と堆積作用と堆積盆地テクトニクスの相互作用に関しての新たな知見を提供する.石灰質ナノ化石の生層序学的研究により,上部桂竹林層と上位の錦水頁岩層はNN15,卓蘭層はNN16−NN18の生層序帯にそれぞれ対応することが明らかとなった.さらに,NN15−NN16の境界は,錦水頁岩層と卓蘭層の境界にほぼ対応することが明らかとなった.下位より上部桂竹林層,錦水頁岩層,卓蘭層ならびに楊梅層で構成される前縁堆積盆地埋積物には,3つの主要な堆積環境が識別された.前期鮮新世の上部桂竹林層の堆積期には,波浪作用ならびに潮汐作用の卓越した沖合環境が卓越していた.後期鮮新世になると堆積環境が深海化し,錦水頁岩層が形成された.更新世の下部卓蘭層堆積期には,堆積環境は浅海化し,波浪卓越型のエスチュアリーが発達し,堆積盆地の急速な埋積が行われた.さらに,上部卓蘭層から楊梅層の堆積期には,蛇行河川ならびに砂質網状河川へと堆積環境が変化した.したがって,研究対象層準では,およそ4 Maから1 Maまでの鮮新世から更新世にかけて,前縁堆積盆地において深海化とその後の浅海化,ならびに浅海化にともなう埋積物の粗粒化が発生したことが明らかとなった.

Keywords: foreland basin, Plio–Pleistocene, sedimentary environments, stratigraphy, Taiwan
 

4.Two modes of climatic control in the Holocene stalagmite record from the Japan Sea side of the Japanese islands
Tomomi Sone, Akihiro Kano, Kenji Kashiwagi, Taiki Mori, Tomoyo Okumura

 

完新世石筍に記録される日本海側での2つの気候モード
曽根知実,狩野彰宏,柏木健司,森 大器,奥村知世,沈 川洲,堀 真子


新潟県糸魚川市の洞窟で採集した石筍FG01は酸素同位体比に完新世(1万年前以降)の東アジア冬期モンスーン強度を高解像度で記録する.本研究では,新たにFG01の炭素同位体比とMg/Ca比を解析した.その結果,水の浸透経路における方解石沈殿の重要性とともに,糸魚川での完新世古気候が6.4 kaを境に2つのモードに分けられることが示された.前期完新世では温暖・湿潤化に伴う土壌二酸化炭素の増加が,後期完新世ではモンスーン変動に伴う降水量変動が古気候指標に反映されていたと解釈できる.また,解析結果は1) 約7千年前に起こった植生変化,3)後期完新世で顕著な数千年〜数百年スケールの変動を示唆する.

Keywords: East Asian winter monsoon, Holocene climate mode, Japan, Mg/Ca ratio, millennial-scale variation, oxygen and carbon isotopes, prior calcite precipitation;stalagmite
 

5.Early Cretaceous I-type granites in the southwest Fujian Province: new constraints on the late Mesozoic tectonic evolution of southeast China
Xilin Zhao, Kai Liu, Minggang Yu, Yang Jiang, Jianren Mao, Xiaohua Zhou and Shengyao Yu

 

福健省南西部の前期白亜紀のI-タイプ花崗岩類:中国南東部の後期中生代のテクトニクス進化に関する新たな制約

中国福健省南西部のSukeng深成岩体の2試料から得られたジルコンの生成年代を決めるためにレーザーICP-MS分析を行った.2試料のジルコンは100.47±0.42 Maと102.46±0.69 MaのU-Pb年代を示すことから,Sukeng深成岩体の形成は銅―金―鉛―亜鉛―モリブデン鉱化作用に関係したSifang及びLuoboling深成岩体と同時であることがわかった.どの深成岩体もI-タイプ花崗岩類であり,高Kから中Kのカルクアルカリ系列のメタアルミナ岩型に属し,Al2O3/(CaO+Na2O+K2O)モル比の平均値が0.95,87Sr/86Sr初生値が0.70465-0.70841,101 MaにおけるεNd(t)が-1.72〜-7.26,2段階のNdモデル年代(T2DM)は1.16から1.60 Gaである.3つの深成岩体のジルコンは101 MaにおけるεHf(t)が-3.5〜6.25,T2DM年代が0.74から1.46 Gaであり,これらのI-タイプ花崗岩が原生代中期から後期の大陸地殻の部分融解メルトとマントル由来のマグマの混合によって生じたことを示唆する.この火成活動はCathaysian地塊内の小大陸同士の衝突によって下部地殻が厚くなったことと関係しており,これは白亜紀前期の太平洋プレートの沈み込みによって引き起こされたものである.

Keywords: U–Pb age, geochemistry, I-type granites, mantle materials, microcontinents, cathaysian block