2011年東北地方太平洋沖地震から学んだ地質災害防止と人工地層と地質汚染に関わる国際宣言

 

 2015年3月14日から27日にかけて,第3回国連防災世界会議(仙台)が開催されました.参加者は全世界から約15万人以上にものぼりました.
 この世界会議を契機に,国際地質科学連合(IUGS)環境管理研究委員会(GEM)(http://www.iugs-gem.org/)の「国際人工地層と地質汚染(Man Made Strata and Geo-pollution)ワーキング・グループ(委員長:楡井 久(日本地質学会環境地質部会長))」において 2011年6月に出した「国際地質災害防止宣言」*1を総括する責務から,「2011年東北地方太平洋沖地震から学んだ地質災害防止と人工地層と地質汚染に関わる国際宣言」が出されました(下記全文参照).宣言文は日本文,英文*2を作成し,英文はIUGSのホームページ(http://www.iugs.org/)の表紙,News and Information内に掲載されています.
 日本の環境地質学・災害地質学で長年蓄積されてきた概念や知識が世界に認められました.
 なお,宣言文内にある人自不整合(the Jinji unconformity)も国際学術用語になっております*3
 以上,会員の皆様にご報告いたします.
 
*1 「Katori-Narita-Itako  International Declaration for deterring geological hazards such as those occurring in the 2011 Earthquake off the Pacific Coast of Tohoku」(http://manmade.iugs-gem.org/man-made-strata-overview
*2 「Geological Hazard Prevention Measures Learned from the 2011 Earthquake off the Pacific Coast of Tohoku and the International Declaration on Man-Made Strata and Geo-pollution」(http://iugs.org/uploads/MMS%20%20GP%20WG%20Declaration%202015.pdf
*3上砂正一(2015)国際学術用語となった“人自不整合”.日本地質学会News,Vol18, No.6, 13.(http://www.geosociety.jp/faq/content0588.html)
 

環境地質部会 
田村嘉之((一財)千葉県環境財団)
 

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 2011年東北地方太平洋沖地震から学んだ地質災害防止と
人工地層と地質汚染に関わる国際宣言


 2011 年3月11日に発生した東日本大震災から4年が経過しました。我々、世界の人工地層と地質汚染の研究に係わる研究者は、あらためて帰らぬ犠牲者の方々のご 冥福を祈り、被災された方々にお見舞い申し上げます。被害地域の科学的復興の速度が高まることを心よりお祈り申し上げます。
また、原子力発電所事故による放射能汚染の被害者の健康と、汚染地が科学的で子孫へも誇れる夢のある地域復興が進むことを祈念いたします。
 私達の国際ワークキング・グループ(国際地質科学連合(IUGS)環境管理研究委員会 (GEM) 人工地層と地質汚染に関わる国際ワーキング・グループ゚(MMS&GP))は、震災直後の2011年6月18日に、“2011年東北地方太平洋沖地震にか かわる国際地質災害防止宣言”をだしました(IUGS GEM)。
 ̄嫋化−流動化・地波現象被害に関わる被害と調査・対策、 津波被害からの避難と対策 J‥臑茖姥胸厠枠電所事故からの放射能汚染の調査対策の三点です。
  第3回国連防災世界会議(仙台)(2015年3月14日〜18日)を契機に、前述の国際地質災害防止宣言を総括するのも私達の国際ワークキング・グループ の責務であります。総括すると、震災後4年を経た今日でも、各内容とも正鵠を得てきています。したがって、今後の国際地震防災・減災や原子力発電所事故に よる放射能汚染調査・対策には有効で重要な宣言となりました。
 一方、完新世になって、我々人間の文明が進むとともに利便性が高まり、同時に災害の 規模も大きくなってきていることです。特に、人間が陸地・沿岸を開発し利用するのにともなって、人工地層の分布は拡大し、それは加速しています。そして、 人工地層は、自然地層に比較してさらに物性的・化学的面で多様性を示します。この多様化現象も加速しています。また、人自不整合面や多様性を持つ人工地層 内では、地下水流動系も複雑です。
 特に、東日本大地震から4年を経過した調査から得た教訓は、人工地層分布地域で複合災害・複合汚染が多く発生し ていることです。例をあげれば、)蒜板蕕篦吐犯鯑駘儕茣瀑始が津波来襲前に液流動化・地波で破壊され、その後に大津波が襲う複合災害、液状化―流動 化・地波にともなう人工地層中の汚染物質の移動・噴出による汚染発生と拡大の複合災害、J‥臑莪豸胸厠枠電所事故による放射性物質高濃度汚染沿岸の人工 地層分布域では、液流動化被害・津波被害・放射性物質による汚染といったこの3重の複合災害が発生していることなどがあげられます。
 人工地層と地 質汚染に関わる国際地質科学連合(IUGS)環境管理研究委員会(GEM)の国際人工地層と地質汚染ワーキング・グループ(MMS&GP)は、人工地層の 研究から、地震時の地質災害には、人自不整合と人工地層とが深く関わっていることが確認できました。また、福島第一原子力発電所事故で発生した放射性物質 の2次堆積層は、人工地層の形成過程を経ていることも確認できました。
 特に、完新世になって人間の活動が加速化し、今後とも人工地層の拡大は避け てとおれません。人工地層の形成過程や人自不整合が、災害に大きくかかわることが明らかになり、第3回国連防災世界会議(仙台)を契機に、全世界の人間が 災害から避けられるように、これらの研究が益々重要になってきていることを指摘するものです。

 

国際地質科学連合(IUGS)環境管理研究委員会 (GEM) 人工地層と
地質汚染に関わる国際ワーキング・グループ゚(MMS&GP)
2015年3月11日