小さなEarth Scientistのつどい〜第16回小,中,高校生徒「地学研究」発表会〜

 

 札幌大会は9月5日(水)〜7日(金)の平日開催が予定されており,児童・生徒の参加が難しいことが予想されていた.そのため,今回の「小さなESのつどい」は,学会会場における発表に加え,愛媛大会で代替措置として行ったデジタルポスター発表会という形式を執ることを当初から決めていた.
 北海道胆振東部地震のため,札幌大会3日目に関連行事として予定されていた「小さなESのつどい」を含め,大会プログラムのすべてが中止となった.悪天候の中,今回の発表会のために札幌入りしていた学校もあったが,行事委員会や学会本部と協議の上,早い段階で「小さなESのつどい」の学会会場での発表会は中止を決定し,デジタルポスター発表会のみでの開催とした.
 デジタルポスター発表会の形式は,2017年11月号のニュース誌記事(10-11ページ)をご覧いただきたいが,概要を記すと,2つの段階に大きく分けられる.第1段階では,学会HP内で各校のポスターを閲覧し,理事の方々に感想やコメントを提出いただいた.第2段階では,審査委員による審査であり,第1段階で寄せられた感想やコメントも参考に,審査を行った.最終的には,本行事を担当する地学教育委員会が審査結果を集計し,結果を発表した.なお,審査項目は,「研究の動機が明確であり,問題点をはっきりととらえているか」,「観察・実験から導かれたデータを基に,結論が導かれているか」,「わかりやすいポスターとしてまとめられているか」の3つであり,それぞれ10点満点で評価する.
 審査の結果,優秀賞は高得点を取得した上位3件の発表に決定した.奨励賞は例年「フィールドワークに根ざした研究を行い,今後の成果が期待される発表」に授与しており,今回は5件の発表に決定した.
 やむを得ない事情で,2年連続して学会会場での発表会は中止となった.児童・生徒が,学会に参加する研究者・専門家らと直接交流することは,小さな地球科学者たちの学習意欲へのよい刺激と励みとなり,本企画の大きなねらいのひとつでもある.特に,大学院生レベルの研究者の存在は,高校生が近い将来に目指す自分たちの姿であり,交流する機会がなかったことは非常に残念である.すべての発表に対して,後日参加賞とあわせてデジタルポスター発表会に寄せられた感想やコメントを送付したが,次回以降の発表会では直接交流が出来ることを期待している.  
 最後となりましたが,今回の行事に参加いただいた各校の皆様,またご多忙のところ審査にご協力いただいた理事の皆様に,あらためて御礼申し上げます.

(地学教育委員会 三次徳二)
(2019.1.30掲載)

【優秀賞 3件】
  • ES-1:市立札幌藻岩高等学校フィールドサイエンス部「北海道夕張地域の4000万年前の古植生と陸上古気候」
  • ES-10:東京学芸大学附属高等学校「三浦半島・三崎層に見られる皿状構造の粒子配列についての考察」
  • ES-13:長野県長野高等学校定時制科学探究講座「発見!長野高校直下の撓曲」

【奨励賞 5件】
  • ES-3:北海道旭川西高等学校理数科課題研究地学班「化石のタイムカプセル「ノジュール」の形状解析」
  • ES-4:遺愛女子中学・高校 地学部「大森浜の海岸浸食と砂の堆積2006-2018 イカ看板は再び出現したのか?」
  • ES-11:東京学芸大学附属高等学校「相模湾北岸における現生有孔虫の分布の特徴」
  • ES-14:兵庫県立加古川東高等学校自然科学部地学班「防災的観点で見る放置ため池利用法の提案」
  • ES-16:兵庫県立西脇高等学校地学部(氷班)「冷却過程における炭酸水と純水の気泡の温度(第3報)―マグマの発泡の基礎研究として―」

参加校(15 校,20 件)
  • 市立札幌藻岩高等学校フィールドサイエンス部
  • 札幌日本大学高等学校
  • 遺愛女子中学校・高等学校(中学校地学部2 件、高等学校地学部1件)
  • 北海道旭川西高等学校理数科課題研究地学班
  • 福島県立福島高等学校
  • 群馬県立太田女子高校理科研究部地学班
  • 早稲田大学高等学院理科部地学班
  • 東京学芸大学附属高等学校(2 件)
  • 東京都立南多摩中等教育学校
  • 長野県長野高等学校定時制科学探究講座
  • 兵庫県立加古川東高等学校自然科学部地学班
  • 兵庫県立西脇高等学校地学部(2 件)
  • 愛媛県立宇和島東高等学校地学部(2 件)
  • 鹿児島玉龍高校サイエンス部天文班
  • 熊本県立天草高等学校科学部